黒いちごの果汁を感じるような甘酸っぱさと、上質なシルクのようにやわらかいムスクが出会った、今までにないフレグランス。
「ミュールエムスク(黒いちごとムスク)」オードトワレが誕生したのは1978年です。
かつて表参道に立地していたラルチザンパフュームの旗艦店でも、この黒いちごとムスクが発売された当初のストーリーを何度か耳にしました。
香水に慣れっこ、あるいは、暮らしの中にフレグランスなくてはならないパリっ子たちが、そのセンセーショナルな調香に夢中になったのだそうです。
発売から40年を迎えた今日でさえも、新しく、他にはない斬新さを感じさせるミュールエムスク。
今日でも色褪せない、その魅力を追いかけてみましょう。
ミュールエムスクの基本の調香
ミュールエムスク(オードトワレ)の調香は?
先に発売された、オードトワレ版の調香を見ていくと…
香調タイプ / フレッシュ フルーティ ムスキー
ヘッドノート / レモン、オレンジ、バジル、ミント
ハートノート / ブラックベリー、フレッシュジャスミン
ベースノート / ムスク、パチュリ、オークモス
調香師 / ジャン・ラポルト
出典:ラルチザンパフューム公式サイト
ブラックベリー(黒いちご)以外にも、柑橘系のフルーツがふんだんに使われていることがわかります。
柑橘系の香料とハーブを中心に、身近な果物と植物からなる、ナチュラル志向な調香と言えそうです。
動物性の香料はムスクのみとなっています。
ミュールエムスクエクストリーム(オードパルファム)の調香は?
続いて、オードパルファム版のコンポジションを見ていくと・・・
香調タイプ / フルーティームスキー
ヘッドノート / ベルガモット、カシスのつぼみ、オレンジブロッサムリーフ
ハートノート / ブラックベリー、レッドベリー
ベースノート / ムスク、パチュリ、オークモス
調香師 / ジャン=ルイ・シュザック
出典:ラルチザンパフューム公式サイト
名前の通り、「黒いちご」と「ムスク」の2大香料を外すことはありませんが、その他の香料を大胆に替えた調香となっています。
ヘッドノートにカシスのつぼみを加えたことで、時間の経過とともに、このフレグランスならではのストーリー性が引き立てるような意図が感じられますね。
花の香りと果実の香りが異なっていても、元は同じ植物。
2つの異なる部分からなる香料を使い、時間の経過によっての香り立ちを計算することで、奥行きを持たせながらも、統一感を感じさせます。
オードトワレ版よりも、「黒いちご」の香りが多層的に、印象強く香ります。
それだけではなく、よりオトナっぽく、艶めいた印象ももたせるのがオードパルファム版。
ナチュラル志向というよりも、都会的な雰囲気や、モードな気分を引き立ててくれそうでもあり、OLとしては使い勝手の良い一品といえそうです。
オードパルファムは調香師が違う?
同じ名前の香水で、オードトワレとオードパルファムの両方が作られるケースは多々あります。
パルファム、ボディケアアイテムまで揃ったフルラインナップをそろえる銘柄も、珍しくありません。
大概は、同じ調香師が作品を作り分けることが多いのですが、中にはそうではないケースも。
黒いちごとムスクの場合は後者で、最初に登場したオードトワレ版(1978年)と、後からラインナップに加わったオードパルファム版の調香師も、年代も異なります。
ラルチザンパフュームの場合、同一の名前でオードトワレとオードパルファムが揃う香りは、同じ調香師が手掛けています。
珍しい例外が、黒いちごとムスクというわけです。
ただ、ラルチザンパフュームの2015年のリブランディングにより、今後は既存の商品を新たな調香師がリニューアルしていくケースが増えるかもしれません。
使い分けたい、2つの「黒いちごとムスク」
黒いちごとムスクは、オードトワレ版、オードパルファム版のどちらのバージョンも都会的な雰囲気が似合う香りです。
デザインや音楽関係をはじめ、クリエイティブなオフィスで魅力が高まりそうな、おしゃれな雰囲気が特等的です。
ミュールエムスク オードトワレ版
オードトワレ版であれば、柑橘系の香りもふんだんに含まれているため、日本人にはとっつきやすいといえます。
ムンムンの香りではなく、周りの子とちょっとだけ差を付けたい時や、香水に前向きでないオフィスであれば、オードトワレ版がオススメ。
香りが強すぎることも弱すぎることもなく、程よい柔らかさの中に、ミステリアスな魅力を高めてくれるのです。
オードトワレ版には、まとう人自身が持っている魅力を、そっと後押ししてくれるようなトコロがあると思います。
ラルチザンパフューム(L’Artisan Parfumeur) ミュール エ ムスク オードトワレ 100ml
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ミュールエムスク オードパルファム版
一方のオードパルファム版は、それだけで完成された作品ともいえる逸品。
まとうのであれば、少量をさりげなくというより、ケチらずたっぷりの量を細かな霧のようにスプレーし、その下をくぐるように贅沢にまといたいもの。
全身ブラックで決めた日や、シンプルなワントーンコーデに合わせて使いたくなる香りです。
ラルチザンパフューム ミュール エ ムスク エクストリーム 50ml オードパルファン
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オードパルファムのまとい方について、詳しくはこちらの記事が参考になると思います。
ミュールエムスク「黒いちごとムスク」シリーズ その他のラインナップ
代表作であるだけに、黒いちごとムスクシリーズはラインナップも豊富です。
香りのライン使いができるのも、代表作ならではの贅沢ですね。
ミュールエムスク ボディウォッシュ
ラルチザンパフューム ミュール エ ムスク エクストリーム ボディウォッシュ 280ml
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