よく耳にするフゼアノート、フゼア系という香りのジャンル。
大人向けの作品に多いような気がするけれど、香りのイメージがピンと来ない、なんだかよくわからないような…
フゼアの香りは、実際に存在する何かの香りではなく、調香師のイメージで表現される香りだからなのです。
今回は、フゼアの香調について詳しくご紹介していきます。
- フゼアノートはどんな香り?
- フゼアの由来は?
- フゼアノートに含まれる香料は?
- どんなシーンに似合う香調?
- フゼア系の代表的フレグランス
- フゼア・ロワイヤル Houbigant Fougere Royale
- シャネル アンテウス CHANEL Antaeus
- ラルフローレン ポロ オードトワレ Ralph Lauren Polo
- ペンハリガン サルトリアル オードトワレ Penhaligon’s Sartorial
- カルバン クライン シーケービー オードトワレ ck Calvin Klein CK-be
- シャネル エゴイストプラチナム オードトワレ
- シャネル アリュール オム オードトワレ CHANEL ALLURE HOMME
- イヴ・サンローラン リブレ オーデパルファム YVES SAINT LAURENT YSL LIBRE
- ゲラン ジッキー オードパルファム GUERLAIN JICKY
- メゾン フランシス クルジャン マスキュラン プルリエル オードトワレ
- ディプティック オードラヴァンド オードトワレ Eau de Lavande
- フレデリックマル ゼラニウム プール ムッシュー オードパルファム GERANIUM POUR MONSIEUR
- 女性らしくフゼアノートをまといたいなら、シプレーノートがおすすめ
フゼアノートはどんな香り?
フゼアノートは、ハーブのような渋みと青みのある爽やかな香りと、オークモス(苔)による日陰の土のような重厚感のある香りの特徴を併せ持つ、かっちりとした雰囲気が特徴です。
フゼアの香りには、トップノートにラベンダーが用いられることが多く、キリッとした甘みの少ない香調です。主にクマリンという合成香料を基軸にいくつかの香料素材を組み合わせて表現されており、単品で描き出される香りではありません。
香りの雰囲気は骨太なマッチョ系ではなく、ミステリアスで知的な印象を与えます。
ちなみに、フゼアとは植物の「シダ」を指しています。
といっても、フゼアノートの香水にシダの香りそのものが入っているわけではありません。
フゼアとは、19世紀頃のフランス宮廷や、上級階級で流行していた、観賞用のシダの香りをイメージしたものだそうです。
主に、男性用香水に採用されることが多い香調です。
ちなみにフゼアノートの女性版はシプレーノートで、この2つは対となる香調です。
フゼアの由来は?
フゼア系の香調が確立したキッカケとなる香水が存在しています。
1882年に発売された、フランスの老舗香水会社ウビガン社による「フゼア・ロワイヤル」という香水です。
上流階級の男性が、スーツでビシっと決めた際に纏うカッコ良い香りとしてふさわしく、大ヒットとなった香水です。
ちなみに、マリー・アントワネットや、ナポレオンといったフランス王室、その周りの貴族たちが、ウビガン社の顧客だったことが知られています。
フゼアノートに含まれる香料は?
フゼア系最大の特徴として、世界初の合成香料と言われるクマリンが使われています。
クマリンの香りは、桜餅のような香りです。
合成香料ならでは、といっていいのですが、使用する量や、他の香料との調香によって、クマリンそのものの香りの感じ方にも違いが出てきます。
中には、バニラのような甘みを感じさせるものもあるのです。
桜餅の香りと聞いて、フゼア系をまるっと毛嫌いしなくても大丈夫ですよ。
フゼアには、お花の香りも入っていることが多いのです。
甘みが少なく、キリッとした印象のラベンダーやゼラニウムが採用されており、清潔感があり、クールな印象を与えます。
どんなシーンに似合う香調?
こちらもフォーマルな場面に適した香調です。
男性用香水に使われることが多いのも特徴ですが、もちろん、女性が纏っても素敵ですよ。
いかにも、女性が男性用香水を付けている、というのではなく、中性的な印象になるため、ビジネスシーンで香りだけが浮いてしまうことがありません。
デキる女性や、仕事に打ち込んでいる自分を演出したい時に、スカートから見える膝の裏や、クロップドパンツの裾から肌が露出する辺りに吹き付けてみるといいかもしれません。
ストッキングやタイツに吹き付けるのではなく、着替える前に素肌へ纏うようにすると、自然な香り方になりますよ。
フゼア系の代表的フレグランス
フゼア・ロワイヤル Houbigant Fougere Royale
フランス語の発音では、「フジェール・ロワイヤル」とも。
世界初の合成香料「クマリン」を採用した、フゼア系の代名詞となった香水です。
シャネル アンテウス CHANEL Antaeus
1981年に、シャネル3代目の調香師、ジャック・ポルジュが手がけた初めてのメンズフレグランスとして名高いメンズフレグランスです。
アンテウスとは、ギリシア神話に登場する巨人のことです。
神話の中では、大地の女神ガイアと、海の神ポセイドンの間に生まれ、英雄ヘラクレスに倒されてしまいました。
なんとも壮大な、神話を由来にした香りですが、この香水は複雑な香り方をすることで知られています。
95種類以上もの香料が使われており、男性の二面性を表現しているのだとか。
力強いタフなイメージを持たせる、レザーの香りがしたかと思えば、繊細で凛としたラベンダーが香るなど、意趣を凝らした調香となっています。
女性が使いこなすのは、ちょっと難しそうな香りですが、こういった複雑性をもった香りは、意外にも女性がまといやすいと思います。
要素が複雑になるほど、人によって香り方が異なります。
男性がまとった場合より、重すぎず、レザーやパチュリの香りがきれいに香るのかもしれません。
いずれにしろ、かっこいい香りであることに間違いはありません。
ラルフローレン ポロ オードトワレ Ralph Lauren Polo
アパレルメーカーのラルフローレンからも、名香が発売されています。
フゼアらしく清潔感が漂う男性向けの香水ですが、堅苦しさを感じさせず、とても使いやすい部類に入る一品です。
クラシカルな香水が好きな方にもおすすめです。
女性が自分自身のためにまとう、というよりも、自分なりにスーツを着こなせるようになった大人の男性がまとう時にこそ、本来の魅力が発揮される香りだと思います。
女性がフゼア系の香りを試すなら、私は以下に紹介するペンハリガン サルトリアルがおすすめです。
ペンハリガン サルトリアル オードトワレ Penhaligon’s Sartorial
英国王室御用達のグルーミングブランド、ペンハリガンからも、フゼア系香水が発売されています。
ペンハリガン サルトリアル
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2010年に登場した「サルトリアル」は、現代向けにアレンジされた、スタイリッシュなフゼア香水といえるでしょう。
レザーやオゾン、金属様の香りなどをさまざまに調香し、均衡と複雑さを融合させた独特の香りを創り出しています。
「アンテウス」より複雑で、繊細な男性をイメージした香りだと思います。
どちらかというと香りは重めです。それゆえ、カッチリしたファッションによく似合います。
ツイードのパンツスーツに合わせたくなる香りです。
カルバン クライン シーケービー オードトワレ ck Calvin Klein CK-be
90年代に一世を風靡したシーケービーも、実はフゼア系でした。
グリーンの要素も持っており、非常に軽い香りで、日本の夏にはピッタリです。
その後、シーケービーのバリエーションが登場し、もはや夏の風物詩になった感があります。
10代から20代の若い男性の、自分用にも好まれる香りですので、女性がまとった時、“カレの香水を借りてきた”感が出てしまわないようにまとうのがポイントです。
個人的なオススメとしては、ズバリ重ね付け。
手持ちにホワイトフローラル系やグリーン系の香水があれば、シーケービーとの重ね付けをしやすいですよ。
その場合、同じ場所に異なる2種類以上の香水を吹き付けるのではなく、付ける部位をずらしてみてください。
上半身と下半身で変えてみるなど、遊び心で楽しんでみてくださいね。
女性でも、また若い男性でも取り入れやすい香りです。
シャネル エゴイストプラチナム オードトワレ
クラシカルなフゼアノートにグリーン系をプラスした、使いやすくもフゼアの王道を行くエゴイストプラチナム。
シャネル エゴイスト プラチナム
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リリースは1993年と一世代前の作品とは思えません。時代遅れ感や古臭さを感じさせないのはさすが、ジャック・ポルジュの為せる技です。
ムエットではハーバルな香りが清潔な印象ですが、男性がまとうとセクシーな雰囲気に。男性版のモテ香水かもしれません。
シャネル アリュール オム オードトワレ CHANEL ALLURE HOMME
女性版も好評、シャネル アリュールの男性版はフゼア系のフレグランスです。
シャネル アリュール オム
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つけたての時間からラストまでに4つのストーリーが展開される、初心者の方にもわかりやすい香水です。
印象的なのは、やはりトップノートのマンダリンとコリアンダー(スパイスの香り。パクチーと言えばわかりやすいですね)。
日本人は、柑橘系の香りに昔から親しんでいることから、柑橘系の香りは広く受け入れられやすい傾向にあります。
どのストーリーにも、スパイスと強い甘みをもつ香料が使われています。
フゼア系独特の、軽く流れていくようなシャープな要素の中に、こういったスパイスと強い甘い香りが加わることで、印象深い香りに仕上がるのです。
具体的にいうと、「それ、どこの香水?」と訊かれるような香りの印象です。
女性版アリュールもとても魅力的な香りですが、セクシー系に分類される傾向もあります。
あえて女性がアリュールオムをまとうことで、他の女性と差をつけることができるかもしれませんね。
男性にも大変人気が高いアリュールオム。女性がまとう場合は、上司や男性の同僚など、周りにアリュールオムを使っている男性がいないかどうか、確かめてから使ってみてくださいね。
イヴ・サンローラン リブレ オーデパルファム YVES SAINT LAURENT YSL LIBRE
フゼア系の作品はそもそも男性向けとして作られた香水がほとんどです。
「女性向けのフゼアはないの…?」そんな方におすすめしたいのは、イヴ・サンローランのリブレという作品です。
イヴ・サンローラン リブレ オーデパルファム
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フゼアノートの基調となるラベンダーを用いながらも、まとう女性をより美しく魅せるためにフローラルノートとアレンジしています。
さらに、オレンジブロッサムやタンジェリンなどジューシーな柑橘系の香りを組み合わせ、男装の女性が醸し出すようなセンシュアルな雰囲気を演出しています。
ラストノートはトンカビーンやバニラ、ムスクでほんのりと甘く、女性らしさをさりげなくアピールすることができますよ。
この香りはまだ新しく、他人とかぶりにくいと言えるでしょう。かっこいい香りを探しているなら、ぜひトライしてみてほしいです。
ゲラン ジッキー オードパルファム GUERLAIN JICKY
最後に、ゲランの歴史的な名香として知られるジッキーをご紹介します。
フゼア系の香りとは言い切れないのですが、トップノートに含まれているさわやかでクールなラベンダーが印象的な作品です。
ゲラン ジッキー オードパルファム
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1889年に発売された歴史の長い作品でありながらも、古びることなくいまも愛され続けているセミ・オリエンタル系の香りとして知られています。
またジッキーは史上初のユニセックスでまとえる作品でもあります。それまでは、香水は男性用・女性用と明確に区別されていたというのですから、ジッキーの登場は当時の人々をずいぶん驚かせたことでしょうね。
メゾン フランシス クルジャン マスキュラン プルリエル オードトワレ
マスキュラン プルリエルは、伝統的なフゼアノートを現代的にアレンジしたメゾン フランシス クルジャンのオードトワレです。
レザーの香りがシャープでかっこいい雰囲気で、クルジャンが得意とする透明感も感じられます。
ディプティック オードラヴァンド オードトワレ Eau de Lavande
ディプティックのオードラヴァンドが、ラベンダーの中にレザーの香りを感じる、すっきりとしたオードトワレです。
フレデリックマル ゼラニウム プール ムッシュー オードパルファム GERANIUM POUR MONSIEUR
フレデリックマルのゼラニウム プール ムッシューは、クラシカルなフゼア香水を現代版にアレンジした使いやすいオードパルファムです。
ゼラニウムが使われていますが甘さを抑えたシャープな香り立ちはフローラル系とは一線を画します。
アニスやクローブといったスパイス、サンダルウッドとムスクの香りがクールな印象です。
女性らしくフゼアノートをまといたいなら、シプレーノートがおすすめ
「フゼアノートが気になって調べてみたけれど、やっぱり女性らしい雰囲気を大切にしたいな」
もしあなたがそう思ったなら、シプレーノートの香水を選んでみることをおすすめします。
シプレーノートにもオークモスが使われているので、ミステリアスな香りの雰囲気は似ています。
シプレーノートについては、当サイトの以下の記事で詳しくご紹介しています。
参考になったら嬉しいです。