梅雨はどこへ?
2017年は、関東甲信越で6月7日に梅雨入りしたものの、今のところは雨が少ない日々が続いています。
まるで初夏を思わせる、気持ちのいい晴れの日は気分が良いものですけれど。
(実は、私の香りの衣替えがまだ追いついていないのが現状です・・・)
そんな私が頻繁に取り出したくなるのは、香りをまとっているようでまとっていない、さりげないフレグランス。
スキンフレグランスとして、当ブログでもいくつかご紹介したことがあり、さいきんの私が気に入っているジャンルの一つです。
今回は、セルジュ・ルタンスで人気の作品ローセルジュルタンスをご紹介します。
ローセルジュルタンスはどんな香り?
香りの構成:アルデハイド、シトラス、マグノリア、ミント、クラリセージ、オゾンノート、ムスク
調香師:セルジュ・ルタンス(Serge Lutens)、クリストファー・シェルドレイク(Christopher Sheldrake)
ローセルジュルタンスは、シトラスやマグノリア、ミントやクラリセージといった天然にも存在する香料のほか、合成香料を巧みに併せた調香となっています。
石鹸や柔軟剤のような雰囲気を感じるのは、おそらくアルデハイドの影響です。
おろしたてのシャツを思わせる清潔感の正体でもあります。
このほか、オゾンノートも有名な合成香料の一つ。
アクア系、マリン系と呼ばれる夏にピッタリの作品に数多く採用されており、透明感を演出します。
スースーする香料ではなく、透き通った水のようなヌケ感を感じさせるイメージです。
またマグノリアのお花の香りが入っているので、地味になりすぎず、ふんわりとした華やかさも得られます。
ローセルジュルタンスのコンセプト
この作品は、今までのセルジュ・ルタンスの作品とはまったく異なる考えの元に作られています。
それは、清潔さ。
清潔さは、ラグジュアリーの原点であるとの考え方が背景にあるのです。
余計なものをそぎ落としたミニマリズムであり、フレグランスとは何だろう、という究極の問いへの、ルタンスの答えなのかもしれません。
決して難しい香りではないことを強調しつつ、こういった調香師の思索が反映されたような作品は、香りとともに、調香師の哲学を辿るような気がしています。まとうだけでなく、感じて考える楽しみも得られます。
ローセルジュルタンスはすっきり系?
ここまでご紹介してきたローセルジュルタンスが、男性向けの爽快なフレグランスなのではないか?
女性向けではないのではないか?といった疑問があるかもしれません。
たしかに、ムエットに出した香りは冷たい雰囲気で、時間が経っても無機質な香りを感じる方も多いでしょう。
しかし、香水は肌にのせて楽しむもの。
ローセルジュルタンスは、実際にまとってみて、初めて着心地を実感する、上質なシャツのような作品です。
冷たい水を思わせるローセルジュルタンスが体温で温まり、自分だけのぬくもりを抱いた香りとなって包み込んでゆく感覚は、ムエットでは味わえません。
香りの強さはソフトで、香害を起こしにくいところも使い勝手が良いですね。
1本持っているだけで、すぐに香水上級者のようなさりげなさを演出できる作品だと思います。
また、男性向け、女性向けを強く意識させないところも魅力的です。
ローセルジュルタンスのラインナップ
ローセルジュルタンスは、オードパルファムのみの作りとなっています。
オードパルファムの中でも、香りは穏やかで柔らかいところがポイント。
つけたての瞬間から10分ほどはフレッシュな印象ですが、その後は、まとう人の肌質に合わせ、スキンフレグランスらしいまろみのある香りに変化します。
自分のごく近くでだけ香りを感じる、さりげない香りを求める人に。
ローセルジュルタンス オードパルファム
ローセルジュルタンスは、残念ながらすでに廃盤となっています。
現在は小分けにされたごく少量のものが流通しているのみとなっています。