マリンノートとは?
マリンノートとは、海や潮風をイメージした香調のことです。
海水や潮風など、塩っぽい(ソルティーな)香りや海藻のにおいが特徴的です。
80年代後半以降に登場した新しい合成香料を用いて作られることが多くなっています。
合成香料って良くないんじゃない?
合成香料=良くないもの、と捉えられがちですが、そもそも現代の香水文化は合成香料なしには成立しません。
天然資源には限りがあり、特に動物の代謝物や器官から得られる希少な香料の乱獲を防ぐためにも、合成香料の存在は欠かすことはできません。
また、合成香料の採用にはコストを抑えるメリットもあるのです。
新しい香料素材の登場により、調香表現の幅が広まったのは事実です。
調香師のイマジネーションを香りに置き換えることができるようになったため、より複雑でユニークな作品が生まれやすくなりました。
海で過ごした思い出や夏のバカンスの記憶、ひと夏のロマンスへの誘いなど、カタチのない「海」のイメージをも、香りに宿すことができるようになったのです。
マリンノートはどんな香り?
マリンノートは潮の香り?
海岸の香りを心地よいと感じる人もいれば、潮臭さをきらう人もいるでしょう。
マリンノートに主に用いられる合成香料は「カロン」といい、ワカメに代表されるような、海の中に生える藻が放つ天然の化学物質に構造が似ていることがわかっています。
こうした海藻の香り、潮風の香り、流氷や凍った海のイメージ、海を眺める高台にある植物と海の香りが混ざりあった香りなどもマリンノートとして含まれています。
実際のマリンノートに属する香りは、「海をイメージ」した香りであり、海の水そのものの香りではないこともしばしばです。
調香師が表現した世界をあれこれと想像する楽しみ方ができるのも、マリンノートの醍醐味だと思います。
マリンノートはスイカの香り?
アクアノート同様に、スイカやメロンの香り、いわゆる「瓜系」がマリンノートとして紹介されることもしばしば。
水分を多く含んだ果肉が放つ甘いフルーティーな香りと、皮の青っぽい香りが混じり合ったような、みずみずしさが特徴です。
フルーティーな甘さとみずみずしさがマリンノートのフレグランスにも共通するため、「瓜系」と呼ばれるのでしょうね。
マリンノートの親戚には「アクア系(アクアノート)」、「オゾン系(オゾンノート)」も存在します。
マリンノートは男性向け?女性にも似合う?
海はさわやかさやアクティブなイメージで、男性向け香水のイメージがあるかもしれませんが、マリンノートの香水は、マッチョな男らしさのイメージには当てはまりません。
マリンノートはさわやかで、男性性、女性性を強く訴えかけるのではなく、男女兼用で使える軽やかな香りが多くなっています。
マリンレジャーのみならず、夏のアウトドアでまとうにも軽やかで使い勝手が良いのもポイントです。
香りの透明感から、静かな香り、と表現する場合もあります。
クラブや音楽フェスに出かけて大はしゃぎ・・・というより、静かな時間を楽しみたい時にまといたい作品が多いためでしょう。
香りの軽さが特徴なので、高温多湿の夏季にもぴったりと言えそうです。
マリンノートはどんな場面に似合う?
マリンノートの香水は、初デートや、出会いの場である合コンにつけてゆくといった、恋愛の最初の場面で選ぶタイプの香りではないと思います。
中性的な雰囲気に似合う香りなので、知的な印象を高めたい時に向いています。
爽やかで透明感があるため、オフィスで日中まとう場合も使いやすい香調です。
男女兼用で使える作品が多く、カップルがいっしょに使えるのもマリン系香水のメリットです。
香りのチカラを借りて、静かな雰囲気に癒やされたい時にもオススメです。
マリンノートの代表的フレグランス
マリン系のフレグランスをご紹介します。
90年代以降の新しいフレグランスが多いため、従来の香水イメージにとらわれない斬新な表現を楽しめます。
ユニセックスの香水が多いのもマリン系ならではです。
ジバンシィ ウルトラマリン オードトワレ
マリン系の王道にして元祖。国内では90年代に一斉を風靡した香りです。
長年に渡って愛されている理由は、湿度の高いムシムシとした夏にも爽やかに香るところ、軽やかさだと思います。
30代以上であれば誰でも知っている香りでありながら、夏になると恋しくなる香り…それがウルトラマリンです。
男性がまとえば健康的でセクシーな印象になりますが、女性がまとえば中性的な魅力を演出できますよ。
いまの若い世代にも受け継がれていってほしいマリン系フレグランスの一つです。
アルマーニ アクアディジオ オム オードトワレ(メンズフレグランス)
地中海でのバカンスをイメージした男性向けの作品です。
マリンノートにマスカット、フローラルがブレンドされたすっきりとした印象。
さわやかさに加えて、アルマーニらしい上品さもプラスされており、好感度もアップです。
ダビドフ クールウォーターウーマン オードトワレ
透明感を求めるならコチラ、ダビドフ クールウォーターウーマン オードトワレです。
その名の通り、みずみずしさをそのまま香りで表現したようなクリアーな作品で、女性向けのマリンノートフレグランスとなっています。
何本もリピートしているという愛用者も多く、まとっていると落ち着く香りとしても愛されています。
香りはアクア系とマリン系の中間といったところ。オフィス勤めの女性には、使いやすく周りからの好感度も高いでしょう。
ディプティック フローラベリオ オードトワレ
フランスのフレグランスメゾン、ディプティックにもマリンノートの香水がありますよ。
ディプティックらしく、マリンノートとフルーティーノートの見事な融合です。また、男女どちらがまとっても自然なユニセックスの作りです。
個性的なマリンノートを求めている方にぜひトライしてみてほしいです。
ディプティックの中ではマイナーな作品なので、他人とかぶる可能性も低く、自分だけの香りを探している人におすすめです。
ブルガリ アクアプールオム マリン オードトワレ
ブルガリのメンズフレグランスですが、ひそかに女性の愛用者も少なくないのがアクアプールオム マリンです。
ブルガリのアクアシリーズは男性向けがメインで、アクアプールオム(マリンがつかない)も実は海がモチーフとなっています。
マリンがつく、こちらのバージョンの方が女性でも使いやすいと思います。
海藻の香りが海をイメージさせ、夏っぽさを存分に感じることができますよ。海に出かけたくなるかも?!
フェラーリ ライトエッセンス アクア オードトワレ
実はユニセックスとして売り出されている、フェラーリのライトエッセンス アクア。
パッケージの薄いブルーも、香りも夏の海をイメージさせるさわやかな作品です。
マリンノートに加え、ホワイトティーとウッディーがブレンドされたスタイリッシュな調香です。
パッケージの水色のイメージほど強いマリンノート感はなく、シトラスウッディー寄りの印象です。現代的で心地良くまとえるオードトワレだと思います。
ドルチェ&ガッバーナ ライトブルー オーデトワレスプレー
もはや夏の定番、ドルチェ&ガッバーナのライトブルーオードトワレは、軽やかで知的な印象で愛されています。
ライトブルーはメンズ版とレディース版が分かれて出ています。ペアで使ってみても素敵ですね。
地中海がモチーフとなっており、夏の青空と水平線の明るいブルーの世界を香りで楽しむことができるさわやかな作品です。
レモンと青りんごが夏のフルーツらしく、また女性らしさも感じさせてくれ、真夏にまとっても重くならないよう工夫されていると思います。
ジョルジオ ビバリーヒルズ オーシャン ドリーム
シトラス系トップノートに始まり、睡蓮とオレンジブロッサム、ムスクにマリンノートを加えた、夏にピッタリのフレグランスです。
1996年に発売されて以来、長く愛され続けているサマーフレグランスです。
インターネット上ではメンズ向けとして紹介されているサイトが多いですが、ユニセックスで使える作品だと思います。