ある香水の名前が、そのまま香調名になった「シプレーノート」とはどんな香りでしょうか?
シプレーノートは、1917年に当時フランスの香水会社だったコティより発売された「CHYPRE (シプレー)」という香水から始まり、今日では香りの種類の一つとして確立されています。
- シプレーの香調とはどんな香り?
- シプレーは男性向けの香り?
- シプレーの由来は?
- シプレー系の代表フレグランス
- コティ シプレー ド コティ CHYPRE de Coty (廃盤)
- ゲラン Mitsouko (ミツコ)オードパルファム ※エクストレイト版も存在
- ゲラン イディール オードパルファム GUERLAIN IDYLLE
- ラルチザンパフューム ローズプリヴェ オードパルファム ROSE PRIVEE
- グッチ ラッシュ オードトワレ GUCCI RUSH
- ペンハリガン オー ソン パレイユ オードトワレ Eau Sans Pareil
- クリスチャン ディオール ミス ディオール オードトワレ Miss Dior
- ブルガリ ブラック オードトワレ BVLGARI BLACK
- ブルガリ ゴルデア ローマンナイト オードパルファム BVLGARI GOLDEA
- シャネル クリスタル オードトワレ Cristalle
- メゾン フランシス クルジャン フェミナン プルリエル Feminin Pluriel
- ヒーリー シプレ 21 オードパルファム HEELEY CHYPRE 21
- コティ社について
- カレや旦那さんにすすめるなら?シプレーノートの男性版、フゼアノートをチェック
シプレーの香調とはどんな香り?
シプレーノート(シプレーの香調)の香りの特徴
シプレーノートは、主にベルガモットといった柑橘系のトップノートに加え、オークモスという苔の香りを組み合わせた幻想的な印象の香りが特徴です。
オークモスとは?
オークモスとは、樫の木に生えるツノマタゴケという苔から作られる香料です。
シプレーノートの主役となっています。
オークモスの香りは、インクのような奥行きを感じられ、湿った土や木の雰囲気を持った重みのある香りです。
シプレーの香りは、例えば他にお花の香料を用いていてもメインに立たせず、いくつかの香料を混ぜ合わせることで生み出される「アコード」がメインとなっている場合が多くあります。
このためシプレーノートは複雑な香りとなり、嗅いだ人にミステリアスな印象を与えます。
捉えどころがなく奥深い香りは、清楚で上品な雰囲気を演出したい時にも向いています。
ベルガモットの香りの特徴
シプレー調の香りを特徴づけるもう一つの主役が、ベルガモットの香りです。
ベルガモットは、イタリア原産の柑橘類の一種でオレンジやレモンの仲間に当たります。
ベルガモットの香りは、柑橘類独特のジューシーな持ち味に加え、苦味を感じるグリーンっぽい特徴を持っています。シプレー系以外の香りにも多く用いられています。
また、ベルガモットはアールグレイ紅茶に付けられている香りとしても有名です。
シプレーは男性向けの香り?
シプレーは男性向けの香調なのでしょうか?
シプレー系香水の特徴は、中性的なニュアンスを持っているところにあると言えます。
オークモスなどの重めの香りを取り込むことで、他の女性向け香水にはない独特の雰囲気を演出しています。
女性向けの香水にも、シプレー系はたくさん発売されています。
- 女性用香水なのに、サバサバして爽やかな感じがする。
- 男性用香水なのに、どこか可憐な印象がある。
- つかみどころがない、ミステリアスな雰囲気。
そんな、相反する要素や不思議な感覚を抱かせる香調がシプレーの魅力でもあります。
シプレーの由来は?
Chypre(シプレー)は、キプロスのフランス語読みです。
これは、ギリシア神話のアフロディーテ伝説でも有名な、地中海のキプロス島に由来しています。
キプロス島は香水産業とも関係が深く、実際に紀元前から香油を生産していたことがわかる遺跡が見つかっています。
シプレー系の代表フレグランス
コティ シプレー ド コティ CHYPRE de Coty (廃盤)
この香水以前から、シプレー系の香水は存在していたものの、香調の一つとして数えられるほどではありませんでした。
1917年に発売されたコティ社の「シプレー」が爆発的にヒットしたことにより、シプレー系がジャンルの一つとして確立したのです。
残念ですが、現在では廃盤になってしまい、コレクターの間で僅かなヴィンテージが出回っている限りとなっています。
ゲラン Mitsouko (ミツコ)オードパルファム ※エクストレイト版も存在
ゲラン社の古典的名作で、上記「CHYPRE de Coty(シプレー ド コティ)」の影響を受けた香水と言われています。
フランスの小説中に登場するヒロインであり、日本人女性ミツコの名前が名付けられました。
ミツコは、架空の人物です(実在したらどんなに素敵な女性なのでしょう!)
古風な香水らしいかっちりした印象と、独特のトップノートから、香水に慣れた方の愛好者が多いようです。
ゲラン社の2代目調香師、ジャック・ゲランの作品です。
ゲラン イディール オードパルファム GUERLAIN IDYLLE
ゲランで3代目調香師を務める、ティエリー・ワッサーが、ゲランで初めて手がけた香水です。
ティエリー・ワッサーは、2020年現在もゲランの調香師を務めています。
イディールは、シプレー系にフローラル系の要素が加わった、シプレーフローラルと位置付けられます。
フローラル系が持つ華やかさを持ちながらも上品で、スマートな印象に。
オークモスが程よく効いており、暗くなりすぎない、軽やかなシプレーと言えそうです。
その分やや優等生的なところがありますが、上司・同僚・部下・同性の同僚、誰にでも受け入れられる優しい香りです。
オフィスにもまとって行きやすく、何かと便利なフレグランスです。
イディールには、いくつかの姉妹品(イディール○○○といった、シリーズ作品)があります。
私の個人的な好みでもありますが、初代のイディール(イディールの後に何もつかないもの)のオードパルファム版がオススメです。
ラルチザンパフューム ローズプリヴェ オードパルファム ROSE PRIVEE
ラルチザンパフュームのローズプリヴェは、2015年に発売されたばかりの新しい作品です。
こちらも、イディール同様に、シプレーにフローラルの要素を加えた、シプレーフローラルタイプです。
ローズプリヴェという名前の通り、ローズを冠した香水ですが、従来のローズ系香水にはない、繊細でミステリアスな調香です。
希少なバラをテーマにした香りでありながら、従来のバラ香水のような、重さがないのです。
気がついたらバラがいる・・・そんなさりげなさも上品。
ベースには、シプレーらしくムスクが強く香ります。
印象としては、底抜けに明るいイメージというよりも、明け方のほの明るさの中にいるような、不思議な魅力をたたえた香りです。
ローズとムスクが絶妙にブレンドされておりスタイリッシュな印象が特徴的です。
こちらは、オードパルファムのみ、50mlと100mlの容量の違いとなっています。
グッチ ラッシュ オードトワレ GUCCI RUSH
手に入りやすい価格のシプレー系といえば、グッチのラッシュです。
平日の夜、予定がある時にさっとまとって出かけたい香り。
そんな位置付けで、ディスカウントショップで売られるようになった今でも、ファンが多い香水です。
ピーチとジャスミンの香りを、嫌いな女性はいるでしょうか?
とはいえ可愛くなりすぎないのもポイント。
シプレーとはいえムスクが全面に出るのではなく、ベチバーのほかバニラを加えたところがポイントなのでしょう。
そのせいか分類次第は、オリエンタル系に入ることもあるグッチのラッシュ。
人によっては、ベースに入ったベチバーとバニラの香りが強く出て、オリエンタル系の香水と似た香り方をするかもしれません。
ちなみに、ラッシュにはラッシュ2というものもありますが、私のオススメは断然、初代のラッシュ(2が付かない、コチラ)。
名前は同じシリーズのように見えますが、まったく異なる香りです。
ペンハリガン オー ソン パレイユ オードトワレ Eau Sans Pareil
かつて1988年に発売され、その後、終売し、2011年に復活を遂げた、ペンハリガンのオードトワレがあります。
それが、オー ソン パレイユ(Eau Sans Pareil)です。
現代版にアレンジされた新しい調香で、今日のトレンドに合ったものに改訂されたようです。
甘く上品でパウダリーな、やわらかいシプレー。
ベルガモットが強く出ると、男性用香水のような凛々しさが出てしまいますが、ネロリやマンダリンと組み合わせ、華やかさを添えてくれます。
また、たくさんの白い花々が入り、シプレーの中にフローラルの要素が盛り込まれています。
男性優位のオフィスで仕事をしている女性が自分らしさを活かして日々、励んでいる・・・そんなイメージが湧いてきます。
クリスチャン ディオール ミス ディオール オードトワレ Miss Dior
クリスチャンディオールのミスディオールは、現代的で可愛らしさを感じられるシプレーノートの作品です。
クリスチャン ディオール ミス ディオール オードトワレ
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シプレーらしいミステリアスな雰囲気を残しつつも、軽やかで明るい仕上がりとなっており、若い女性にも広く受け入れられた人気の作品です。
ミスディオールにはいくつかのバリエーションがありますが、当サイトではシンプルなミスディオール(最初に発売されたもの)をご紹介します。
ブルガリ ブラック オードトワレ BVLGARI BLACK
ブルガリの人気作ブラックは、都会的な印象のユニセックス向け作品です。
ブルガリ ブラック オードトワレ
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レザーの香りが立っており、シャープな印象。ミドル以降にバニラ、アンバーなどが肌のぬくもりの上に現れまとう人の魅力を増してくれます。
ブルガリ ゴルデア ローマンナイト オードパルファム BVLGARI GOLDEA
ブルガリからもう一つ。
ローマの夜を舞台にした、ブルガリのゴルデア ローマンナイトは、シプレーらしく夜のミステリアスな雰囲気を描き出しています。
ブルガリ ゴルデア ローマンナイト オードパルファム
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静と動で例えると、静かな雰囲気が特徴のシプレーですが、ゴルデア ローマンナイトに関して言うと動の雰囲気です。
シプレーノートの中にもチュベローズやジャスミンが大人っぽく香り、華やかさを演出してくれます。
シャネル クリスタル オードトワレ Cristalle
オードトワレ版とオードパルファム版があるシャネルのクリスタル。
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どちらも共通の「クリスタル」の世界を描いているのですが、微妙に異なる香りとなっています。まるでパラレルワールドのように…。
よりシプレーらしい香りを楽しめるのは、オードトワレ版です。
シャネル クリスタルについて、当サイトでは以下の記事で詳しくご紹介しています。参考にしてみてくださいね。
メゾン フランシス クルジャン フェミナン プルリエル Feminin Pluriel
ミステリアスな雰囲気が多いシプレーノートの中で、シプレーらしい王道を貫きながらも華やかに香ってくれるのがメゾンフランシスクルジャンのフェミナン プルリエルです。
清楚な雰囲気もあり、育ちの良いお嬢様を想像させてくれます。
ヒーリー シプレ 21 オードパルファム HEELEY CHYPRE 21
イギリスのメゾン「ヒーリー」のシプレ21は、現代版のとてもわかりやすいシプレーノートの作品かもしれません。
ブルガリアンローズを用いた知的で上品なシプレーノートで、ハーバルな印象です。
コティ社について
当初、パリに設立されたコティ社。
様々な香水のヒットや今でいうM&Aを経て、コティ社の本社はニューヨークへ移り、現在はアメリカの企業となっています。
最近では、2017年7月に、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の美容部門を125億ドルで買収することが発表されました。
実は、「ギルティ」や「ラッシュ」など多くのヒット香水を持つグッチや、ドルチェ&ガッバーナの香水もコティ社のブランドです。
これからも、どんなヒット作を創りだすのか、目が離せません。
カレや旦那さんにすすめるなら?シプレーノートの男性版、フゼアノートをチェック
オークモスを用いたより男性向けとされる香調は、フゼアノートと呼ばれています。
かっちりした雰囲気の作品が多く、スーツスタイルによく似合う香りです。知的な印象を与えたい時におすすめの香調です。
フゼアノートについては、当サイトの以下の記事で詳しくご紹介しています。
よかったら参考にしてみてくださいね。