フィロシコスを一言で表現するなら「洗練されたグリーンの香り」
前回ご紹介した、ラルチザンパフュームの「青いイチヂク」は、世界で初めてのイチヂクの香水でした。
同じく、ディプティックからもイチヂクの香水が登場しています。
それが、今回ご紹介する「フィロシコス」なのです。
フィロシコスの香りの構成
フィロシコスの香りの構成は、まさにイチヂクづくしです。
イチジクの果実だけでなく、葉や樹木まで惜しみなく使った、イチヂクのさまざまな香りを取り入れた構成となっています。
ミドルノート:ココナッツ、グリーンノート
ラストノート:シダー、イチヂクの樹木
調香師:オリヴィア・ジャコベッティ(Olivia Giacobetti)
ちなみに、イチヂクはフランスでは絶大な人気を誇るフルーツなのだとか。
香りとして楽しむのだけでなく、食べる方でも大変な人気があるようで、フランス人にとってのイチヂクは、日本人にとってのみかんのようなフルーツと言えそうです。
ちなみにディプティック青山店のスタッフさん曰く、フィロシコスは本国での一番人気の作品とのこと。
フィロシコスにはディプティックらしさが現れている
ディプティックは、もともとフレグランスキャンドルから始まったブランドです。
肌にのせる香水とは異なり、フレグランスキャンドルは空間を香らせるためのものです。
そのためか、私には、ディプティックのアイテムからは、香りとともに快適に過ごそうというスタンスを感じます。
ユニークな香りは追求しつつも、奇をてらうのではなく、まとっている時の快適さや、他にはない洗練といったキーワードが浮かんできます。
奇抜さを狙ったフレグランスにはない、ごくシンプルな特徴です。
快適であること、洗練されていること。ここに、私はディプティックらしさがよく現れていると思うのです。
もちろん、それはキャンドルだけではなく、香水も同じくです。
手掛けたのは女性調香師、オリヴィア・ジャコベッティ
「青いイチヂク」は、女性の調香師であるオリヴィア・ジャコベッティの手によるものでした。
彼女は、ラルチザンパフュームの社員ではなく、フリーランスの調香師。
ジャコベッティはディプティックからも請われ、イチヂクの香水を作ったというわけですね。
ちなみに、「青いイチヂク」の後で「フィロシコス」が生まれています。
- ラルチザンパフューム「青いイチヂク(プルミエ フィグエ)」オードトワレ・・・1994年
- ディプティック「フィロシコス」オードトワレ・・・1996年
私とフィロシコスとの出会い
もともとラルチザンの「青いイチヂク」が好きだった私。
ただ、時によっては、クリーミーさが強く出てしまうことがネックでした。
まとう日の湿度や気温にも影響はありますが、私の肌は、ミルキーな香りが全面に出ることが多いのです。
これは、肌質と同じく個性なので、その人によって異なってくるでしょう。
「青いイチヂク」オードトワレ版のような、イチヂクのグリーンさをもっと味わいたい・・・
そんなときに出会ったのが、ディプティックのフィロシコスだったのでした。
フィロシコスのグリーン
葉のグリーンな香りと、まるで木の枝そのものをポキっと折って実をもいだ時のような、樹液のような香り。
かいだ瞬間の爽やかさには、清涼感を感じました。
ミルキーさは奥に隠れていますが、主張せずに存在しています。
香りそのものが控えめで、ココナッツっぽさはほぼ感じません。
まるで、新鮮な生のイチヂクをかじった時のようにジューシーで、さわやかなのです。
フィロシコスの、特にオードトワレであれば、さわやかで軽く香らせることができ、オフィスでも広く受け入れられやすいのでは?と思います。
フィロシコスという名前の由来
不思議な響きをもつ「フィロシコス」は、ギリシャ語で「イチヂクの友」という意味。
夏にギリシャを訪れた、ディプティックのイヴ・クロエンが通りがかった、イチヂクの森をイメージしているのだそう。
ディプティックは、グリーンの香りが巧みなメゾンだとつくづく思います。
グリーンの香りと言っても、植物にはそれぞれ独特の香りがあります。
ローズの葉の青さと、イチヂクの葉の青さは異なります。
それぞれの植物の、花の香りだけではなく、葉の青い香りを表現するところが、ディプティックのニクいところだと思います。
それぞれに香りが持つストーリーと相まっていますしね。
フィロシコスのラインナップ
フィロシコス オードトワレ
フィロシコスのオードトワレは、軽く淡い香りで、イチヂクの香りが初めての方にもおすすめです。
クリーミーさをきらう方や、フレッシュな葉の青い香りを求めている方には、ぜひコチラをまとってみてほしいです。
また、ほかのフルーティーな香りとも相性が良さそうです。
重ね付けを楽しむにも、もってこいなのはオードトワレ版です。
ちなみに私は、ディプティックのフィロシコス オードトワレの葉のグリーンっぽさの表現が大好きです。グリーンっぽさの表現ではオードトワレ版の方が好みです。
より大人っぽく、重ね付けをせずに一本で楽しみたい方は、下記のオードパルファム版をどうぞ。
フィロシコス オードパルファン
よりリッチでグラマラスな、フィロシコスのオードパルファム版は、いわば、イチジクの樹木全体を表した壮大なフレグランスです。
とはいえ、ラルチザンの「究極の青いイチヂク」ほどにはミルク感は出ませんので、ご安心を。
フィロシコスのオードパルファム版の魅力であり、フィロシコスのオードトワレ版とも、ラルチザン版とも異なる点は、木そのものを表現したウッディー系の一面も持ち合わせているところ。
というのも、オードパルファム版にはホワイトシダーが入っているからなのです。
これは、イチヂクの木の香りではなく、松の仲間の香りです。
男性用香水に用いられることも多いウッディーな香りから、甘さはほぼ出ません。
ラストノートには、落ち着いた雰囲気になってきます。
サンダルウッドなど、香木の香りが好きな方には、オードパルファム版をきっと気にいると思います。
また、イチヂクの香りは好きだけど、ミルキーな香りはニガテという方にも。
オードパルファム版は、ウッディーな香りに仕上がっています。
私も愛用しており、なぜだか雨の日にまといたくなることが多い作品です。
まとめ
イチジクそのものの香りを求めているなら、ディプティックのフィロシコスを提案します。
その中で、より葉っぱの青っぽさに比重を置いたグリーン系の香り、軽さを追求するならオードトワレ版をおすすめします。他の香りとの重ね付けもしやすいです。
イチジクの葉や果実だけでなく、樹木そのものも表現したウッディーで立体的な香りがほしいなら、オードパルファム版がフィットしますよ。
イチジクが持つミルキーさや、よりセンシュアルな魅力を加えたい時は、ラルチザンパフュームの「青いイチヂク(プルミエ フィグエ)」も検討してみてほしいです。