ラルチザンパフューム パッサージュ ダンフェ 地獄通り PASSAGE D’ENFER

ラルチザンパフューム

ネーミングと香りのギャップがラルチザンらしい、「パッサージュ ダンフェ」の日本語訳は「地獄通り」。

かつて、パリのラルチザンパフューム事務所があった通りの名前を冠したオードトワレなのです。

「地獄通り」の香りがそのまま地獄のように激しかったら、面白みもないですもんね。

癖になりそうななんともいえない香りが「地獄の反対のよう」であるとして、「天国の香り」とラルチザンファンの間ではささやかれている作品です。

さっそく、ラルチザンパフューム パッサージュ ダンフェをご紹介していきます。

パッサージュ ダンフェの香りは?

パッサージュ ダンフェは、ウッディー調に分類される作品ですが、私の感想では、多面的で複雑な香り方をする印象です。

パンチの効いた香料や、強くスポットライトが当たる主役がいないせいだと考えられます。

まるで、人物そのものは描かれていないのに人の気配を強く感じる抽象画のようです。

パッサージュ ダンフェの香りの構成

ヘッドノート: ローズ、ジンジャー
ハートノート:インセンス、ユリの花
ベースノート:サンダルウッド、ホワイトムスク
調香師:オリヴィア・ジャコベッティ(Olivia Giacobeti)

ヘッドノートはかなり控えめ。感じるか感じないかのうちに、ハートノートへと引き込まれます。

パリへの一人旅。

街歩きの最中に訪れた教会は、人影がなく扉が開かれたままになっています。

中ではインセンス(お香)が焚かれ、ユリの花が飾られています。

見上げると、薄曇りの空から漏れるグレーの光を受けて、ステンドグラスが輝いています。

華やかなパリの通りへ戻ったあなた。

教会を出た後にふと気がつくのは、衣服や髪についたサンダルウッドとホワイトムスクの残り香・・・。

そんなストーリーが浮かんできそうです。

パッサージュ ダンフェの香りの変化

香りの変化は曖昧で、トップノート、ミドルノート、ラストノートの輪郭をぼかしながら、ゆっくりと時が進んでゆく作品です。

そしてこの作品は、ムエットではなく、自分の肌に乗せて始めてわかる香りを放ちます。

ですので、もし実際にお試しする機会があるのなら、自分の肌で試してみることを強くオススメします。

このような香りは、スキンフレグランスと呼ばれます。

スキンフレグランスって?

スキンフレグランスにはいくつかの解釈があり、大きく分けると下記の2つとして捉えられています。

スキンフレグランスの定義

・まとっている人の肌そのもののが香っているような、さりげない香り
・身に付けていることを忘れてしまうような、インナーウェアのような香り

このようにさりげない香り方をするため、自分だけが香りを感じることができる、極めてパーソナルな香水というわけです。

また、恋人やパートナーなど、パーソナルな空間をシェアできる相手にだけ自分の香りを感じさせることから、センシュアルで特別なフレグランスといった位置付けも。

ソルティーな香り(潮風っぽい香り)

公式に明かされている香料には記載されていませんが、ミドルノート以降でソルティーな風味を感じることができました。

ソルティーとは、マリンノートの作品に現れる、塩分を含んだ海の風、潮風のような香りがすることを言い表す表現です。

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別の時には、石鹸や柔軟剤のような清潔感のある香りを感じたこともありました。

これは、ホワイトムスクが前面に出てきた時の香り方だと思います。

パッサージュ ダンフェは、いろいろな表情を持った作品と言えそうですが、共通しているのは、どこかリラックスできる天国のような香りということでしょうね。

パッサージュ ダンフェはどんな人向け?

パッサージュ ダンフェは、香水上級者向けの作品だとつくづく思うのです。

香りがわかりやすくない分、まったく初めてラルチザンパフュームの売り場に立ち寄った時は、もしかしたらスルーしてしまう人のほうが多いかもしれません。

実際に、私もそうだったのです。

ところが、自分の好きな香りがある程度わかり、香りのワードローブが一通り揃うようになる頃には、香りの楽しみ方にも変化が現れました。

オンの時の香りだけでなく、オフの時にまといたくなる香りを探したくなったのです。

それは、自分のための香り、お気に入りの場所でゆったりと過ごす時のプライベートな香り。

自己表現とは違うため、香りは強く拡散する必要が無いんですね。

自分のごく近くだけでほのかに香る、他人とかぶらない香りを見つけた時は嬉しくなりました。

こういった作品を用意しているのは、やはりメゾンフレグランスならではです。

パッサージュ ダンフェのオススメの使い方

では、パッサージュ ダンフェはオンの時には使えないのでしょうか?

メインの香りとしてパッサージュ ダンフェをまとうのも、まったく悪くないと思います。

何を使っているのかパッとわからないところも、香水上級者っぽくて素敵です。

そんなパッサージュ ダンフェの個性を活かして、私がオススメしたい使い方は、ズバリ重ね付け。

香水(パルファム、エクストラクト)のように、シャワーを浴びたすぐ後に、洋服のようにパッサージュ ダンフェをまとい、その後でオンの香りを重ね付けするといった使い方ができる作品だと思います。

パッサージュ ダンフェは、お腹やウエストなど身体の中心にまとい、周囲に香りが広がりやすい手首や膝から下には、メインの香りを重ねます。

華やかなフローラル系や、元気なシトラス系でも、一味違った表情になりますよ。

パッサージュ ダンフェのラインナップ

パッサージュ ダンフェは、オードトワレのみの作りです。

ほのかに香るスキンフレグランスは、オードトワレならではの儚く淡い香りがふさわしいと思います。

香りはほのかで弱いのですが、持続時間はしっかりめ。

自分やごく近くにいる人だけが感じる程度で、4〜5時間は保たせることもできるふしぎな作品です。

パッサージュ ダンフェ オードトワレ

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