スッキリとしたスパークリングワインのような、シャネルのクリスタル。
派手さのないシックな作品で、フォーマルなオフィスにも馴染みやすい作品です。
意外と知られていませんが、オードトワレ版とオードパルファム版では調香師が異なります。
まるで違った作品のように感じられる、2つのクリスタルについてご紹介していきます。
基本となる香りの構成
シャネルの公式サイト(日本版)では、オードトワレ版、オードパルファム版のいずれも共通の紹介文となっていました。
ピュアでエレガントな、フローラル フレッシュノート。
はじけるようにフレッシュなトップノートから、ヒヤシンスのグリーン ノート、ハニーサックルのやわらかさ、そして、ジャスミンとアイリスの優しいラストノートへ、いきいきとした魅力と繊細さをあわせもつ香り。
出典:シャネルの公式サイト(日本版)
クリスタル オードトワレの香りの構成
ハートノート:ヒヤシンス、ローズウッド
ラストノート:オークモス、ベチバー
調香師:アンリ・ロベール
オードトワレ版は、シャネル2代目の調香師であるアンリ・ロベールの作品です。
彼はNO.19やプール・ムッシュウ(メンズ向けフレグランス)も手がけています。
オードトワレ版が元祖クリスタルとなるわけですが、削ぎ落とされたようなシンプルな仕上がりとなっています。
香調でいえばグリーンの要素と、シプレーウッディー調の要素を併せ持っています。
透明感があり、凛とした美しい作品です。
クリスタル オードパルファムの香りの構成
ハートノート:ピーチ、メロン、イランイラン、ジャスミン
ラストノート:オークモス、ベチバー
調香師:ジャック・ポルジュ
ジャック・ポルジュはシャネル3代目、現役の調香師です。
これは私の想像ですが、時代のニーズが、香水(パルファン、エクストラクト)からオードパルファムへと移るに従い、クリスタルのオードパルファム版を出すことになったのではないでしょうか。
時代が変わるとともに調香師も代替わりし、ジャック・ポルジュが現代のセンスで生み出したのが、オードパルファム版というわけですね。
オードパルファム版は、より女性らしく華やかなアレンジが加わっています。
ジャック・ポルジュは、まとう女性の魅力を引き出すような調香センスの持ち主だなと実感してしまいます。クリスタルがグリーンシプレーの位置付けに留まらず、フルーティーやフローラル、ウッディーの特徴も顔をのぞかせるためです。
ジャンルの異なるさまざまな香料がキラキラと輝くそのさまが、まさにクリスタルのようです。見事としか言いようがありません。
オードトワレとオードパルファムの重ね付けはOK?
クリスタルの場合、オードトワレ版とオードパルファム版は違う作品と捉えたほうが良さそうです。
近い香調なので、姉妹版とでも言えそうですが、やはり香り立ちは異なります。
気分やシチュエーションによって、使い分けをオススメします。
クリスタルのラインナップ
すでにご紹介した通り、クリスタルには2つのタイプがあります。
オードトワレとオードパルファム、どちらも魅力的なので、あなたの好みに合わせて選んでみてくださいね。
シャネル クリスタル オードトワレ Cristalle
透明感があり、クールな印象を求めているのなら、オードトワレ版をおすすめします。
特に、トップノートのキリッとした雰囲気を演出するベルガモットが好きであれば、オードトワレ版が好みに合うでしょう。
つけたてから20分ほど経つと、甘さ控えめのすっきりしたグリーン調に変化してゆきます。
オードトワレ版の保ちは意外と長く、ラストノートはシプレー調のラストノートが細く長く続きます。
肌からほのかに香る程度の淡いシプレーが実に美しいです。
よりシプレーノートの雰囲気を強く醸し出しているのがオードトワレ版だと思います。
私の個人的な思い出ですが、ずっと若い10代の頃、シャネルのクリスタルのラストノートが似合う大人の女性になりたいと思っていたものです…。
シャネルのクリスタル オードトワレは、女性が憧れる、かっこいい女性像のイメージにぴったりです。
シャネル クリスタル オードパルファム Cristalle
メインがシプレー調の作品ほどクールではなく、華やかさが欲しい時は、オードパルファム版がピッタリ。
そこまでクールビューティーを狙っていないよ、というあなたでも、無理なく大人の雰囲気をまとえそうです。
やや落ち着きすぎてしまうところがある、シプレーの難点をカバーするかのように、ピーチやメロンのフルーティーな香料が若々しい印象を与えています。
ジャック・ポルジュらしく、まとう女性の魅力を底上げしてくれるので、ここぞという時にも。
また、こまめな付け直しが難しい場合、オードパルファム版を選ぶと、日中を通して香りを楽しめます。