いよいよ晩夏に差し掛かり、秋物カラーを身に着けた女性たちも、チラホラと見かけるようになってきました。
日本の夏は湿気が多いため、濃厚な香りをキレイに使いこなすことは難しかったと思いますが、秋からの新しい季節は、フレグランスを楽しむにはもってこい。
濃厚な香りもまといやすくなりますね。
また香水好きの方々は、ファッションも先取りする方が多いようなので、少しずつ秋の香りを紹介していきたいと思います。
今回は、チュベローズ好きにはたまらない作品、フレデリック マルのカーナル フラワーをピックアップしました。
カーナルフラワーの香りは?
カーナルフラワーはチュベローズのお花を存分に満喫できる作品です。
チュベローズそのものが強い香りを持つことと、あくまでもヒロインをチュベローズに据えている調香になっていると思います。
トップノート:ベルガモット、メロン、ユーカリ
ミドルノート:イランイラン、ジャスミン、チュベローズ
ラストノート:ムスク
調香師:ドミニク・ロピオン(Dominique Ropion)
カーナルフラワーをまといたくなる季節は?
濃厚なチュベローズを楽しめる、カーナルフラワー。
ホワイトフローラルらしく、春から夏にかけてがベストシーズンですが、日本の場合は湿気がネックになりますよね。
まだ夏の光の輝きを残しながらも、暑さがひと段落した、いまくらいの季節がちょうどいいのではないでしょうか?
日中は汗ばむとはいえ、夕方以降は風が出て涼しくなり、虫の声とともに、どことなく人恋しさを感じる方も多いと思います。
そんな初秋の、特に夕方から夜にかけてを過ごす香りとしてピッタリ、ミルキーなドライダウンに優しく包まれることができるのです。
ムスクが前面に出てくるというより、チュベローズ感を残したミルキーなラストが女性らしく、肌の上では思いの外しつこくありません。
ただし、カーナルフラワーは香りの持続時間が大変長い作品です。
つける量や位置を調整すれば、心地よいドライダウンを長く楽しめますよ。
カーナルフラワーを他のチュベローズ香水と比較!
カーナルフラワーを他のチュベローズ香水と比較してみたいと思います。
ディプティック ドソン
カーナルフラワーと同じ年に発売された、ディプティックのドソン。
ドソンは、今やディプティックの代表作とも言えるポジションを占めています。
チュベローズらしいフェミニンな雰囲気でなく、ディプティック創設者の一人が母と過ごしたという記憶を表現した通り、家族愛を強く感じさせる作品です。
ざっくりいうと、女性の中にあるセンシュアルなイメージを抑え、女性が持つ包容力、母親の愛といった清潔感を感じさせる調香です。
またドソンはベトナムをモチーフにしているせいか、東南アジアの明るく気だるい夏を想像させます。
カーナルフラワーと比べると、明るい日中に似合います。
こうしてドソンの隣に並べてみると、カーナルフラワーのほうがモード感がありますね。
ラルチザンパフューム ニュイドチュべルーズ
ニュイドチュべルーズは、カーナルフラワーより新しく、2010年の発売でした。
パリの夏の夜をモチーフにしている通り、これから何かが始まりそうな、胸が高鳴る瞬間を切り取ったような作品です。
トップノートは、その予感を知らせるかのようにスパイシー。
ミドル以降にチュベローズが花開き、ミルクのようなコクのあるチュベローズを楽しむことができます。
ラストノートは、意外にもサンダルウッドが強く、落ち着きのある雰囲気に。
自分の肌の上でチュベローズが強く出るか、サンダルウッドが強く出るかで香りの印象はだいぶ違ってくると思います。
私もここ数年の間、ニュイドチュべルーズを切らさぬようにリピートしていますが、香りの出方は体調や体温、その日の気温・湿度によって左右されます。
カーナルフラワーとの違いは、スパイスとサンダルウッドが効いているかどうか。
ニュイドチュべルーズはちょっとクセのある作品ですので、カーナルフラワーの方が使いやすいかも。
ジョーマローン チューべルーズアンゼリカ
ジョーマローンからもチュベローズの香りが発売されています。
黒いボトルのライン、オードパルファム版のライン「コロン インテンスシリーズ」から出ている、チューべルーズアンゼリカという作品です。
アンゼリカも小さなお花の一種で、ややスパイシーな香りが特徴。
ニュイドチュべルーズほどクセがなく、チュベローズらしさを最後まで楽しめる作品だと思います。
カーナルフラワーよりも手に入れやすいというメリットもありますね。
カーナルフラワーはいつ発売された作品?
今回、レビューを書くために、久しぶりにカーナルフラワーとじっくり向き合ってみました。
2005年の発売ということもあり、カーナルフラワーは、メインストリームから徐々にはずれつつあるように感じます。
間違いなく、ずっと残って欲しい名香だと思うのですが、ここ最近はレビューも減っているようです。
2005年といえば、ディプティックのドソンと同じ年の発売なので、決して古びているわけではありません。
フレデリック・マル自体が国内では手に入りづらくなってしまったことと、積極的なPR、広告出稿がされないといった背景もその理由の一つかもしれません。
知る人ぞ知るメゾンは、自分だけの香りをまとっている満足感があり、他人とかぶりたくないフレグランスラバーにはたまらないものです。
しかし、知る人が少なくあまりに売れないと、メゾンが日本撤退・・・なんて事態も余儀なくされてしまいます。
今のところはそんな気配はありませんが、メゾンフレグランス、ニッチフレグランスという香水ジャンルが日本国内でも地位を築きある今日このごろ。
フレデリック・マルがもう少し売れてもいいんじゃないかな、と思っているところです。
カーナルフラワーのラインナップ
カーナルフラワーはラインナップの多い作品です。
本国フランスでは、オードパルファムをメインに、ボディウォッシュやボディバター、ヘアミストも揃っており、またトラベル用の10mlのアトマイザー(それもリフィルあり)といったラインナップが揃っています。
国内では全てが網羅されている店舗は珍しいかもしれませんね。