5,6月からずっと、初夏のように気温が上がったり、蒸し暑かったりといった日々が続いていましたよね。
そのせいなのでしょうか、今日のように、ふっと気温が30度を下回るような日が来ると、なんだか肌寒いとさえ感じてしまいます。
ファッションの世界では、すでに秋物が店頭を艶やかに彩っていますし、気持ちだけは、すでに秋へと先行するかのようです。
そんな今日は、夏から秋までずっと使える、いまの時期にピッタリの作品をピックアップしました。
ディプティックのロー ド ローをご紹介します。
ロードローの香りは?
ロードローの香りは、軽やかながらも意外性のある展開。
シトラスノートからスパイシーノートへと移ろいでゆく、まさに夏から秋への変化を描くような調香です。
トップノート:グリーンマンダリン、グレープフルーツ、プチグレン、レモン
ミドルノート:ジンジャー(しょうが)、オレンジブロッサム、ラベンダー、ピーマン、クローブ、ゼラニウム
ラストノート:トンカビーン、パチュリ、ベンゾイン
調香師:オリヴィエ・ペシュー(Olivier Pescheux)
トップノートはとてもディプティックらしく、シトラス系の元気な香りです。
いくつもの柑橘類が重なり、きらめくよう。
私はディプティックらしい、アロマティックなプチグレンが好きなのです。甘いだけではない、ちゃんと青みと苦味もある、柑橘類の木の香り。
ここから始まる香りのストーリーへと誘ってくれる予感を感じながら、シトラスの樹々の間を抜けてゆきましょう。
ミドルノートでは、オレンジブロッサムが可憐に咲いています。
ラベンダーやゼラニウムといった、苦味と緑っぽさを感じさせる花々も感じます。
単なる夏のフレグランスではないところが、ミドルノートから先の面白い展開です。
ここからは、徐々にあたたかみのあるスパイス類が顔を出し始めるのです。
ジンジャーやクローブには、秋を連れてくる予感を感じませんか?
ラストは、まったりと甘いトンカビーンに大人っぽいパチュリが重なり、そして、どこまでも深いベンゾイン。
シトラスの樹々の奥に広がるフィールドの上でピクニックを楽しんでいたら、あぁもう夏も終わりね・・・なんて。
晩夏の夕暮れの中、ブランケットにくるまって夏の終わりを楽しんでいる・・・そんなシーンが目に浮かぶような作品です。
ロードローの由来
ロードローには、モチーフとなった前作が存在しています。
その名も、ロー(L’Eau)という、1968年に発売されたオリエンタルノートのフレグランスでした。
ロードローはこの作品を現代版にしたものとなっており、2008年にリリースされています。
残念ながら、私は1968年のオリジナル版を嗅いだことはありません。
ロードローの香りのもちは?
ロードローは、紹介されているサイトによっては、オードトワレとされていたり、コロンとされていたりとまちまちです。
ショップでは、オードトワレとして紹介されたのですが・・・オードトワレとしても、香りは軽めに作られていると感じました。
ロードネロリやロードタロッコ、オーローズのシリーズは、いわゆるディプティックの「ロー」シリーズ。
ロー、すなわち水のような透明感を追求したシリーズですので、いずれも軽やかな作品ばかりなのですね。
周りへの香りの拡散は3時間程度で、ラストノートがわずかに残るような調香が特徴です。
ロードローの場合は、トップノートは柑橘系ばかりですので飛びが早く、肌にシトラスノートは残りません。
トンカビーン、パチュリ、ベンゾインが混ざり合い、人肌が恋しくなるようなあたたかみのあるドライダウンを楽しめます。
まるで、秋の予感そのもののような残り香だと思います。
ロードローのラインナップ
ロードローは、オードトワレのみの作りとなっています。
重ね付けにも向いている作品なので、夏はドソンやタムダオの上にオンして、透明感を高めても素敵です。
ロードロー オードトワレ
ディプティック ロー ド ロー オードトワレ 2ml