夏物のセールを眺めながらも、気分は既に秋へ向かっている私。
秋は香水シーズンの始まりでもあり、冬のノエルへ向け、もっとも気分が高まる時期でもあります。
私が持っている香水のいくつかは、限定品であったり、廃盤となっていたりするものがいくつかあります。なぜか、気に入っているものほど、もう新しく買えないものが多かったり・・・
今から手に入れるのは難しいかもしれない作品、廃盤となった作品も、時々ですが、少しずつ紹介していきたいなと思います。
今回は、ディプティックの2015年の限定品、エッセンスアンサンセ 2015をご紹介します。
エッセンスアンサンセ 2015とは?
エッセンスアンサンセは、ディプティックが年に一度、その年だけの香りとして発表するオードパルファムのことで、2014年から始まったようです。
私は2014年のものは手に入れそびれておりますが、2015年と2016年はなんとか入手できました。
ちなみに2015年と2016年は、9月の発売でした。売り切り終了といった限定品となっています。
↑写真はエッセンスアンサンセ 2015のオードパルファムです。
エッセンスアンサンセ 2015の香りは?
エッセンスアンサンセ 2015は、ジャスミン好きにはたまらない作品でした。
収穫した年が異なるジャスミンが2種類も使われており、まるで弦楽二重奏を思わせてくれます。
ベリー系のフルーティーなジャスミンと、ホワイトフローラルとしておなじみのジャスミンらしい香りの二重奏です。
つけたての瞬間には、お香を焚いた時のようなスモーキーな香りを感じます。
ジャスミンの作品にありがちなケモノっぽさは、私の肌の上では現れません。体温が上がった時でさえもです。
2種類のジャスミンの後ろに隠れるようにして、控えめにオレンジブロッサムが咲いています。
このミドルノートは概ね安定していて、ジャスミン好きの私はとても満足しています。
気候やその時の体調によって、やや香りの印象は変わりますが、ジャスミンが主役であること、このブレがないのです。
ドライダウンには、ジャスミンティーのような、ほんのりとティーフレーバーを感じました(実際はバジルの香りでしょうか)
徐々に柔らかく、角が取れるように甘みを増すジャスミンは肌の上で溶け、静かに消えていきます。
ジャスミン香水によく合わせられる、ムスクは感じませんでした。
収穫年が異なる2種類のジャスミン、オレンジブロッサム、バジル
調香師:ファブリス・ペレグラン(Fabrice Pellegrin)
香りの強さと、持続時間は?
エッセンスアンサンセは不思議な作品です。
香りの変化はたしかにあるのですが、変化の振れ幅は小さく、ピラミッドというよりも、ゆら〜り、ゆらりと揺れるような穏やかな変わり方をするのです。
また、明かされている香料もごくわずかです。
単体でまとって出掛けると、お昼頃には香りを感じなくなります。
もう香りが消えてしまったのかな、と思いきや、夕方頃にふっと香りを感じたりもする・・・
淡い香りが肌に残っているのです。
決して弱い香りではないけれど、自ら派手に主張する香りではないことがわかります。
ほのかな香りが自分のごく近くでだけ続く、静かに我が道を行くアーティストタイプ・・・といったところでしょうか。
春よりも秋、にぎやかな場所へ出掛ける時よりも、部屋でゆっくり過ごす夜や、仕事用であれば、事務処理をこなす日に合わせたくなる香りです。
明かされている香料の中にお香は入っていませんが、やはり、お香を焚いている時のような、静かで満たされた気持ちにさせてくれます。
もしかすると、恋愛中の方や若い方には向かないかもしれません。
また、他の香りとの重ね付けにも向いていないかな。単体使いで穏やかに楽しむ作品です。
ホワイトフローラルの王道を行くと見せかけて、実はアートの雰囲気を発揮する、良い意味の意外性。ディプティックらしい作品だと思いました。
エッセンスアンサンセ 2015のラインナップ
エッセンスアンサンセ 2015は、オードパルファムとソリッドパフューム(練り香水)の2ラインナップでした。
今からの入手はなかなか困難だと思いますが、もし復刻する機会があればいいな・・・
そんな風に思います。個人的には、もっと年齢を重ねてから使ってみたい作品です。
惜しみなく、しかし大切に使うつもりですが・・・
エッセンスアンサンセ 2015 オードパルファム
エッセンスアンサンセ 2015は ソリッドパフューム(練り香水)