どんな分野にも伝説と呼ばれる作品が存在し、時を越えて愛され続けているものがありますよね。
香水界にも、伝説の香りがあります。
星の数ほど発売される新商品、流行(トレンド)に廃れることなく、時を刻みながらしっとりと輝き続けている、名香と呼ばれる作品です。
雨やスッキリしない天気が続くこんな時期は、お出かけをお休みして、じっくりと名香と向き合ってみるのも良いかもしれません。
今回紹介したいのは、ジャンパトゥのJOY(ジョイ)・・・世界恐慌の頃に発売された、喜びに溢れる伝説の名香です。
JOYの香りは?
JOYは、古き良き時代の“レディ”を思わせるような、クラシカルで上品な香りです。
1930年代に生きていたわけでもないのに、なぜだか懐かしさがこみ上げてくる、家族の古い写真を見つけた時のような感覚を呼び覚ますような・・・。
トップノート:チュベローズ、イランイラン、ブルガリアローズ、アルデハイド
ミドルノート:ジャスミン、メイローズ(ローズ・ド・メ)
ベースノート:サンダルウッド、ムスク
調香師:アンリ・アルメラス(Henri Almeras)
ローズ、ジャスミン、チュベローズ、イランイラン・・・
香料を見ると、芳香を放つ名立たるお花が名を連ねた、フローラルブーケといった風情なのですが・・・
不思議なことに、どの花も他の花と調和を保ち、程よい距離感をもってつながっているのです。
特定のお花だけが際立っているのではなく、全てのお花が自己主張を消し、それぞれの美しさを捧げて、JOYという香りを作り出そうとしているようです。
強いて言うならバラが目立つほうだとは思うのですが、JOYのバラは調和が取れており、エグみがなくやわらかです。
ジャンパトゥとは
元々、ジャン・パトゥは香水専門メゾンではありません。
20世紀初頭、フランス北西部ノルマンディー地方に生まれたジャンパトゥがパリに開いた婦人服店から始まった、オートクチュールのファッションブランドです。
ファッション業界では、カーディガンを初めて発表したメゾンとしても知られています。
世界恐慌の後は、フレグランスメゾンとしての方が有名となりました。
そう、JOYがあまりにも成功したから・・・
JOYが廃れない理由?
JOYが廃れない理由は、もちろん、作品の良さが時代を越えて愛され続けてきたからにほかなりません。
JOYは世界で2番目に売れた香水として、香水にまつわるうんちくの中でも頻繁に目にすることができますよね。
(ちなみに、世界で1番売れた香水は、シャネルのNo.5です)
JOYは、たいへん贅沢な処方によって作られたことも有名です。
30mlの香水(パルファム)を作るために、約10,600個のジャスミンと28ダース(336個)のローズ・ドゥ・メが使われているのだとか!
これだけ贅沢な作品はなかなかありませんし、これを知ってしまった後では、フレグランスに対する捉え方も変わってしまうんですよね。
知るとは書きましたが、これはサンプルをちょっと試しただけ、とか、ムエットで嗅いだだけ、ではありませんよ。
JOYをまとって、いくらかの期間を過ごした後にわかることなのです。
JOYという名前、コンセプトの通り、喜びに溢れた明るい香りをまとうことで、誰もが自分の中にある幸せを実感できるからなのかもしれませんね。
JOYの香りは古臭い?
JOYの香りは古臭い。
ちょっと前のおばあちゃんが使うような香りだし、私には合わないな・・・
実は私、そう思っていました。
背伸びをして、名香と呼ばれる香りをとりあえず知ってみたかったのです。
やがて自分の好みを知り、色々な香りや、ユニークな作品を使い比べるのに飽きた頃でしょうか。
JOYのまろやかさ。まとった瞬間から肌に馴染み、自分自身の香りとなるようなまろやかさを、心地よく受け止められるようになったのです。
フローラルだけれど、香りの主張や尖ったところがなく、自分の肌そのものの匂いと一体となる心地よさにすっかり魅了されてしまいました。
ドレスアップして最高の状態でまとう香りというよりも、日常そのもののリュクス。
なんだか忙しかったな、このごろ休めていないな・・・そんな時にそっと寄り添ってくれる香り。
自分を大切にしたい時に選びたくなる香りが、私にとってのJOYというわけです。
JOYのラインナップ
JOYには、パルファム(香水)、オードパルファム、オードトワレが揃っています。
もちろんオススメはパルファムですが、お値段もラグジュアリーですので、普段使いには現実的ではありません。
パルファムをまとうなら特別な夜だけ。普段はオードパルファム、といった使い方がおすすめです。
また、オードパルファムが気に入ったらパルファムにステップアップ、といった使い方でも充分楽しめると思います。
オードトワレは気軽に使えますが、香りそのものがとても軽くなってしまい、JOYの世界を楽しむにはやや物足りない印象です。個人的にはオードパルファムがおすすめです。
ジャン・パトゥ JOY パルファム
本来の意味での香水(賦香率が最も高いパルファムという意味)のJOYの香りは格別です。
濃厚という意味とは異なり、どこまでも立体的に優しく包み込まれるかのよう。
自分の肌への馴染み方も格別です。
ジャン・パトゥ JOY オードパルファム
普段使いに向いているオードパルファム版のJOYは、インターネット上でも比較的容易に手に入れることができます。
オードトワレ版との取り違えには気をつけてくださいね。
ジャン・パトゥ JOY オードパルファム
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ジャン・パトゥ JOY オードトワレ
カジュアルにまとえるオードトワレ版はこちらです。
香りをいつまでも長く持続させたくない場合や、気軽に使いたい人に。