1988年から発売され続けているディプティックの人気オードトワレ、オレーヌ。
私はジャスミンのお花の香りが大好きで、いろいろなフレグランスメゾンのジャスミンを集めています。
同じジャスミンでも、フレグランスメゾンによって表現方法が少しずつ異っているところが興味深く
いくつ揃えても飽きることはありません。
さて、ディプティックのジャスミンはどんな香りなのでしょうか?
オレーヌの香りは?
ミドルノート:ウィステリア、ジャスミン
ラストノート:グリーンノート
調香師:セルジュ・カルギーヌ(Serge Kalouguine)
オレーヌの香りは、本物のジャスミンの花がすぐそばで香っているかのようなフレッシュ感が特徴的です。
香りの構成もとてもシンプルです。
さまざまなホワイトフローラルが代わる代わる香ってくるような調香方法を採ることで、作品が持つイメージを再現しています。
ジャスミンだけでなく、ウィステリア(藤)の表現も美しい作品です。
オレーヌのイメージは?
オレーヌの香りの舞台は、イタリアのヴェネチア。
庭園を持つような大きなお屋敷が立ち並ぶ住宅街をお散歩していると、お花の香りが漂ってきます。
スイセン、ハニーサックル、ウィステリア(藤の花)、そしてジャスミン。
正統派のホワイトフローラルらしい、清楚で上品な香りです。
ミドルノートでは、生花の藤の花とジャスミンに囲まれているような、みずみずしい臨場感にあふれています。
表現したジャスミンの香りというよりも、生花のイメージにできるだけ近づけようとした調香師の意図を感じます。
オレーヌは真面目な香り?
私自身、肌にまとってみるまではオレーヌが「真面目な香り」なのだと思っていました。
ムエットの上では凛としたクールな香り立ちを実感し、女性に例えるならば育ちの良い令嬢をイメージしたからです。
ところがディプティック青山店のスタッフの方によると、オレーヌは夜のお散歩をイメージした香りなのだとか。
かといって、夜遊びの雰囲気があるわけではありません。
ディプティックが描いた通り、ヴェネチアのお屋敷に住む女性を思わせる気品あるイメージですので、安心してくださいね。
日中の清楚な雰囲気を演出できる作品ですし、香りも強く残るタイプではありません。昼間のお出かけや仕事をする時にも重宝しそうです。
オレーヌの香りの変化は?
ムエットで香っている間や、つけたての瞬間と、実際に肌にまとった時の香りは少々異なるように感じました。
つけたての瞬間は、凛としたイメージ。
澄んだ冬の空気に漂うスイセンのようです。
肌の上で香りがあたたまるにつれ、香りに少しずつ甘さが加わってゆきます。
その甘さは、あくまでお花が持つ自然な甘みで、グルマン系の甘みとは異なります。
花の蜜のような透明感を持つ甘い香りは、透き通るように優しく香ります。
ラストノートにかけてややグリーンが感じられ、香りは静かに消えていきます。
オードトワレとしては香りの保ちは長い方ですが、4時間ほどすると、ほとんど香りの拡散を感じられなくなると思います。
肌に鼻を押し付けた時にほんのりとわかる、花の蜜のような甘い香りが美しいドライダウンです。
トップノートの冷たい印象がほどけると、オレーヌは儚いイメージになるのです。
いまどきの言葉で言うとツンデレ系と言えるのではないでしょうか。
オレーヌは、線の細い貴族階級の女性をイメージした香りなのかもしれませんね。
オレーヌのラインナップ
オレーヌは、オードトワレのみの作りです。
もしオードパルファムがあったとしても、この冷たさと甘さ、儚さのバランスは成立し得ないでしょう。
オレーヌはオードトワレだからこそ、発売から30年近く経過しているのに輝き続けているのかもしれません。
ディプティック オレーヌ オードトワレ
ディプティックのオレーヌはオードトワレのみの作りであり、インターネット上でも比較的容易に手に入れることができます。
オードパルファムやロールオンフレグランスは作られていません。
私の個人的な感想ですが、オレーヌをまとっていてオードトワレで物足りないと感じたことはありません。
香りの消え方も美しいのですが、オードトワレならではの使い方で、こまめに付け直しをしてみても楽しめます。