フエギア 1833 コモレビ (Komorebi)Fueguia 1833

コモレビは、調香師のジュリアン・ベデルが日本のイメージを香りで表現した作品です。

コモレビ=木漏れ日という言葉は、日本語にしかない概念であることから、日本をイメージした作品名となったわけですね。

今回は、フエギア1833のコモレビ(Komorebi)をご紹介します。

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コモレビの香り

初めてコモレビの香りを嗅いだ時から、その虜になってしまったのを覚えています。

お香のような日本独特の香りではないのに、どこかに日本を感じさせるコモレビ。

深みのある渋さの中に感じるのは、ほんのりとした甘さです。

喉が渇いた時に飲み干す、硬水のミネラルウォーターを思わせます。

フエギアの作品には、トップノート、ミドルノート、ラストノートといった香りのピラミッド構造はありません。

また、明かされている香料は3つだけとなっています。

コモレビの香りの構成

ムスク、アンバー、桜の花(チェリーブロッサム)

調香師:ジュリアン・ベデル(Julian Bedel)

コモレビの香りの強さは?

日本的な情緒を感じさせるコモレビは、意外にも香りは強めです。

桜の花のやわらかい香り、女性らしい香りと言うよりも、位置付けとしては、マスキュリン寄りのユニセックスになるでしょう。

木の葉の陰から漏れる陽の光、桜の花といった淡いイメージとは裏腹に、芯の太いしっかりとした香りが続きます。

とは言え、トム・フォードやブルガリのメンズ向けラインのような、大人の男性を感じさせるような雰囲気にはなりません。

女性がまとっても、いかにも男性の香水を借りてきました、といった印象にはなりにくいですよ。

見た目の印象は穏やかだけれど、内面には強い意志を持つ・・・そんな人物を想像させます。

ユニークな調香で、他人とかぶりにくいことは間違いありません。

補足

フエギアの作品は、一つの作品ごとに、3つの香料しか明かされていません。

各作品で明かされている3つの香料のほかにも、素材となる香料はいくつも調合されていて、その種類は100種類にも及ぶのだとか。

驚くことに、明かされている3つの香料が、必ずしも、その作品の中で最も多い量が入っている3つ、というわけではないのだそう。

これは、仲良くさせていただいているショップのスタッフさんに伺ったお話しです。

実際にどのような香料が用いられているのかは、メゾンの生命であり、秘密のレシピなので、わかりませんが・・・。

調香師のジュリアン・ベデルは、既存の香料による調香だけでなく、自身による香料の開発・抽出をも精力的に行っています。

このことが、他のメゾンにはないユニークな香りの表現、あるいは、今までに嗅いだことのない珍しい香りとして現れているのだと思います。

コモレビの香りの強さは?

コモレビの中で明かされている香料のうち、2つがムスクとアンバーです。

この2つは、一般的にはベースノートによく使われる香料となり、香りの持続が長い部類に入るのです。

購入してしばらく使い続けていますが、私の中ではいわゆるムスキーな印象は持ちませんでした。

フエギアの作品には、トップノート、ミドルノート、ベースノート・・・といった香りのピラミッド変化はないものの、若干の香りの移ろいがあります。

つけたてから2時間ほどの間は、複数の樹木を用いたウッディーノートにオークモスを混ぜたような、和を感じさせるしっとりとした香りです。

どことなく和を感じるのは、桜の花の表現だと思います。

フローラルノートともまた違う、アクセントとしてのお花の使い方は斬新です。

それから、冒頭でも紹介した硬水を口に含んだ時、舌の奥で感じるような甘みが少しずつ出てきます。

これがアンバーなのかな?と個人的に分析しています。

時間が経つにつれて、徐々に墨汁のような深みのあるウッディーノートが強まり、この中に、ほんのりと甘いアンバーが混じった香りへと変化していきます。

私たちが墨汁の香りとして認識している香りは、いくつかの香料が合わせられた香りだということをご存知でしょうか。

一つ目は、リュウノウジュという樹木から得られるボルネオール(竜脳)という成分で、これは漢方薬の原料でもあります。もうひとつがパチュリです。

竜脳とパチュリを巧みに合わせることで、墨汁の香りが出来上がるのだとか。

コモレビで明かされている3つの香料には入っていませんが、私はコモレビから墨汁の香りを感じます。

コモレビのまとい方

私がコモレビをまとう時は、1種類のみよりも、より華やかな香りとの重ね付けを楽しむことが多いです。

落ち着いた香りながらも強さがあるので、主に背中側のウエスト、そして膝から下にだけまといます。

上半身(お腹側)や腕、手首には、フローラルノートフルーティーノートの香りを合わせます。

こうすることで、コモレビの格調高い雰囲気を和らげて、全体が女性らしい雰囲気にまとまりやすくなりますよ。

フローラル系を好まない場合や、男性の場合は、ティー(緑茶、紅茶、ミントティーなど)の香りも合うと思います。

たとえば、ラルチザンパフュームのテ プー アン エテ(THÉ POUR UN ÉTÉ)やミラーハリスのティートニック(Tea Tonique)ですね。

ラルチザンパフュームらしい、詩的な名前を持つテ プー アン エテ。 「夏の紅茶」という名前の通り、それは穏やかな夏の、午後のイメージ。...
ロンドンのメゾンフレグランス、ミラーハリスの「ティートニック」は、洗練された紅茶の作品。 初夏を思わせる、シトラスグリーンがさわやかな...

一方で、ブルガリのオ パフメ、エリザベスアーデンのグリーンティーは、そのものが華やかで完結しているので、コモレビとは合わせず単体で使ったほうがいいかも。

同じフエギアの中から選ぶ場合は、セノーテやメターフォラ、カクタスアスール、アグア マグノリアーナあたりが合わせやすいのでは。

オードパルファム版とパルファム(香水)版の違い

フエギアが日本に上陸した2015年から2016年秋にかけて発売していたのは、すべてオードパルファムでした。

一般的なオードパルファムよりも濃厚に感じられる香りが多く、リッチなオードパルファムといった印象でした。

現在、店舗で売られているのは、パルファン(香水)とオードトワレ、そしてフレグランスオイルです。

私が持っているコモレビはオードパルファム版であり、現在店頭で手に入るものとは若干のニュアンスの違いが見られます。

概ねの香りの印象は変わりませんが、繊細な方は違いがわかるかも。

賦香率の違いというよりも、オードパルファム版のほうが素朴な香りで、パルファム版のほうが洗練されたように感じます。

香水としての完成度が高く洗練されているのはパルファム版ですが、私は、素朴なオードパルファム版のほうが好きだったりします。

コモレビが似合う季節

香りは強めですが、極端に甘すぎる香りでもなければ、派手な作品ではないコモレビ。

様々なシーンで一年中使える作品と言えるのではないでしょうか。

落ち着いた雰囲気がオフィスシーンにもふさわしいですし。

パシャパシャとたっぷりまとうというより、ワンポイントで使えば夏でも重たくなりません

夏は浴衣、真夏以外は着物を着る方の和装スタイルにも似合いそうです。

とは言え、しっかりとした香りの中にデザインされた繊細な香りを楽しむなら、まだ肌寒い春先から梅雨の前にかけて、秋の紅葉の頃がベストシーズンだと思います。

過ごしやすい季節、自然の中で木漏れ日の光を浴びながら、五感で楽しみたくなる作品です。