色々な意味で裏切られるフレグランス。
それが、今回ご紹介するトミーガールコロンです。
さて香水と言えば、(1)フランス製で、(2)パルファム(エクストラクト、もっとも香料の濃度が高いもの)で、(3)天然香料が豊富に使われているものが良いものだと信じている方が多いのでは。
ところが、トミーガールコロンは、これら3点のどちらにもあてはまらないのです。
アメリカ製のカジュアルアパレルブランドの、なぁ〜んだ、コロンか、と聞いただけでは判断しないでくださいね。
香水は値段が高ければ良い!?
「高い香水は、天然香料をたくさん使っているから良いものなんでしょう?」
コロンは子どもがつけるもの!?
コロンは、フレグランス製品の中では軽めの位置付けとなっています。
オードトワレよりも香りは軽やかで、動物性の香りなど、重たい要素がほとんど感じられないといったところでしょうか。
コロン=香りそのものが軽やかで、誰でも気軽に使えて、後残りも少ないもの。
そう考えていただければ、感じがわかりやすいと思います。
トミーガールは紅茶の香り?
トミーガールの香りをインターネットで検索すると、「紅茶の香り」と表現されることが多くあります。
その理由としては、おそらくこの有名な本に書かれたから、と推測されます。
辛口批評で有名な、香水のガイドブックです。
この本の中で、著者は「トミーガール」の製作者にインタビューしたストーリーが書かれています。
その中に、幼い頃、お家の中に紅茶の香りが漂っているような家庭に育った製作者が、紅茶の香りをあれこれと試作して作り上げたエピソードが紹介されているのです。
私が実際にまとった感想では、100%紅茶の香りではなく、シトラス・フルーティー・フローラルの爽やかな香りでした。
紅茶の香りは、1996年に初めて発売された初期バージョンの香りであり、調香変更があったのかもしれません。
私が調べた限りでは、トミーガール=紅茶の香りと言い切るほど、紅茶の調香について多く触れた資料は「世界香水ガイド」のほかは見当たらないのです。
トミーガールの香りの構成
トップノートに現れる、みずみずしいカシスとレモン。
肌の上ですぐに、スイカズラの印象的な香りが開きます。
スイカズラは、英名でハニーサックルと呼ばれます。
ジャスミンのように小さな白い花が咲く、ツル性植物のお花の香りです。
実際のジャスミンよりも、香りは爽やかで、柑橘系の果物のような甘さと苦さを感じます。
このスイカズラこそ、トミーガールのメインであり、夏のアウトドアを思い起こさせてくれると思います。
夏のアウトドアスポーツや、旅行にまとっていきたくなる香りです。
アメリカの香水が日本のオフィスに合う理由
香水と言えばフランス、と思われがちですが、実はアメリカ生まれの名香も多く存在しています。
エスティーローダーやカルバンクラインなど、アメリカ発祥ブランドの多くが香水も扱っていますね。
フランスをはじめとするヨーロッパの香水と、アメリカの香水には明確な違いが感じられます。
私の個人的な印象では、フランスの香水はドライダウン後の余韻にこだわっています。
また、つけたてからラストまでの間に、前面に出てくる香りが変化するものが多いように感じます。
香りのストーリーが終わった後の残り香のこと。
肌に乗せてから時間が経ち、香りが最後まで変化し切った後の香りといえばわかりやすいです。
ベースノートの段階、つまり、香りのストーリーが終末へと向かいつつある状態もドライダウンに含める場合もあります。
一方、アメリカの香水は香り立ちがはっきりとしていて、付けた後の時間によって香りの変化が小さく感じられます。
好きな香りを一日中楽しみたいという方には、アメリカの香水が合っていると言えるでしょう。
トミーガールのラインナップ
トミーガール コロン