極端に蒸し暑い時季、または底冷えのするような季節のはずれに立っている時。
主張が強い香りよりも、中性的で、透明感のある香りに惹かれます。
いつのまにか肌に馴染んで、共に厳しい季節を歩んでくれる存在。
そういった香り作りと言えば、やはりクルジャンです。
自分自身のメゾンでは、はっきりとそこに存在しているようでいて、まるで存在感を消してまとう人に憑いてしまう、そんな空気のようなフレグランスを揃えています。
今回は、メゾンフランシスクルジャン ウード オードパルファムをご紹介します。
メゾンフランシスクルジャン ウードのイメージ
ウード(沈香)は、ウッディー系の特徴ある香料の一つ。
従来のウード系フレグランスでは、オリエンタル調のイメージを色濃く反映した作品が多く存在していました。
また、ウードが用いられるのはメンズフレグランスばかり、という特徴もありました。
ウードと言えば、骨太で男らしく、アラビアンモチーフの作品が多かったのです。
(余談ですが、昨日ご紹介した、クリードの女性向けウード、ロイヤル プリンセス ウードのような作品は、まだまだ珍しいと思います)
クルジャンの手に掛かれば、ウードさえも透明感を得ることに成功しました。
クルジャンのウードは、メンズ用ではなく、男女兼用アイテムとしてリリースされています。
従来のありきたりな男らしいイメージ、性的なイメージを超越したウードとして垢抜けた作品に仕上がっています。
メゾンフランシスクルジャン ウードの香りは?
クルジャンのウードは、どこか墨汁のような、湿り気を感じさせ、小さな滝のある小川の土のような香りが特徴です。
海外のレビューを読んでいたら、泥と表現している人がいました(笑)
透明感をキープしたまま香りの変化も楽しめます。
香りの構成を詳しく見ていきましょう。
パチュリ、シダーウッド、サフラン、ウード(沈香)、エレミ(エレミの樹脂)
調香師:フランソス・クルジャン(Francis Kurkdjian)
メゾンフランシスクルジャンの作品は、トップノート、ミドルノート、ラストノート、と香りのピラミッド構造を詳しく明かしていないものが大半です。
このためか、明かされている香料は、どれもベースノートに用いられるものが多く見られます。
まず、パチュリ。
私が墨汁のように感じたのは、パチュリでしょう。
特に私の肌の上では、澄んだ墨汁のようなヌケ感を感じました。
これだけで、女性をカッコ良く魅せてくれる・・・!
興味深いのは、サフランを用いているところです。
ぬくもりを感じる香りなのに、鼻に抜けるクールな要素も併せ持ったスパイスの香り。
もしも、気になる誰かとのすれ違いざまに、ウードの中のサフランを強く感じさせることができたら、二度見ならぬ二度嗅ぎをされてしまいそう。
スペイン料理や地中海料理によく用いられるサフラン。
美しい黄金色のパエリアや、魚介料理のブイヤベースに使われているあの黄金色は、サフランから抽出するのです。
ヨーロッパでは、サフランの香りは明るく陽気なイメージなのだとか。
ウードの重厚感とは真逆のサフランを併せた、クルジャンのセンスが光りますね。
おまちかねのウードと、エレミの樹脂が現れるのは、つけたてから10分程度が経過した後。
暑い時期や体温が高い方は、もっと早くに現れる場合もあるでしょう。
サフランとウードが同じくらいに現れれば、センシュアルなスキンフレグランスとして最強かもしれません。
野暮ったい骨太感がないので、女性にも積極的にトライしていただきたい作品です。
結局、ウードはどんなタイプに似合う香りなの?
クルジャンのウードは、まとう人の肌に寄り添って香る、透明感が特徴です。
ウード=盛り盛りの重厚な香り、という先入観を忘れさせてくれる作品でもあります。(少なくとも私の先入観は、忘れさせてくれました!)
スキンフレグランスには興味があるけれど、アクアセレスティアやアラローズでは物足りないと感じる時、ひとクセある何かを求めている方を引きつけるかもしれません。
それでいて、センシュアルな香り。
矛盾するようですが、まとう人に女性らしさや男性らしさを強要せずに、その人の魅力を引き出してくれるような作品だと思うのです。
個性をアピールする場面ではなく、オフィスで過ごす時、普段使いに選んでみると、さり気なく自分の魅力を高めることができそうです。
メゾンフランシスクルジャン ウードのラインナップ
メゾンフランシスクルジャン ウード(70ml)
メゾン フランシス クルジャン ウード フレグランス ワードローブ セット 5x11ml
現在、日本では取扱がないウードのバリエーションシリーズ5点をセットしたワードローブセット。