しっとりとした肌寒い気候が続く、梅雨に入りましたね。
なんだか憂鬱な気分、早く夏が来ないかな・・・とう思う方もいらっしゃるかもしれませんが、香りの観点からすると、梅雨は普段と違う作品が輝き始める、魅力的な季節の一つなんですよ。
今回は、晴れた日よりも、むしろ曇りや雨の日にまといたい、雨の日を美しくする作品・・・ペンハリガンのアイリス プリマをご紹介します。
アイリス プリマの香りは?
アイリス プリマは、バレリーナをテーマにした作品です。
プリマとは、1つのバレエ団における、女性バレエダンサーの最高位を意味します。
タイトルを聞いただけで、ドラマティックなイメージですよね。
そんなアイリス プリマの香りのストーリーを紐解いていきましょう。
ヘッドノート:ベルガモット、グリーンアンバー、ピンクペッパー
ハートノート:アイリスアブソリュート、ジャスミンサンバック、ヘディオン、パラディゾン
ベースノート:レザー、バニラ、サンダルウッド、ベチバー、ベンゾイン
調香師:アルベルト・モリアス(Alberto Morillas)
シックでちょっぴり陰のある作風だけれど、一貫して感じるのはしなやかな透明感。
アイリス プリマは、手放しで明るいというわけではないのに、なぜだか忘れがたい作品です。
それは、華やかな舞台でプリマを務めるバレリーナ自身の内面を描いているように感じました。
美しいプリマの外見ではなく、内面にフォーカスした作品、そんな気がするのです。
つけたての瞬間は、バレエの舞台が幕を開ける様子を描いています。
舞台照明を浴びキラキラと輝く様子を、ベルガモット、グリーンアンバー、そしてピンクペッパーを用いて透明感を加えて演出しています。
肌のぬくもりであたたまると、すぐにアイリスが花開き、優雅でしなやかな印象に。
ジャスミンや、合成香料のヘディオン、パラディゾンを巧みに用いて、バレエの男女二人の舞い「パ・ド・ドゥ」を香りで描いてゆきます。
官能的に絡みつくようなイメージではなく、どこまでも透明感にあふれ、美しく芸術的なパ・ド・ドゥ。
ラストは、レザーの香りでトゥシューズ、そして、ウッディーノートによって、上質な木材をふんだんに使った劇場や、稽古場の様子を表現しています。
プリマとしての成功は、幼い頃から積み重ねた練習と努力の延長にある・・・そんな、ひたむきな女性像をイメージしてしまうのです。
調香師のアルベルト・モリアスって?
アルベルト・モリアスは、1950年スペイン生まれの男性調香師です。
ブルガリのメンズライン、オムニアシリーズ、ゴルデアシリーズを手がけているほか、ケンゾーのフラワーシリーズなど、有名ブランドの作品を数多く手がけています。
また、CK ONE(カルバンクライン)やプレジャーズ (エスティーローダー)、ミラク(ランコム)など、世界的なヒット作も生み出している調香師の一人です。
多作であること、有名ブランドに数多く携わっている背景には、彼が香料会社フィルメニッヒの出身であることが関連しているかもしれませんね。
アイリス プリマが似合う女性像
光と陰、その両面を描いているアイリス プリマ。
人間のライトサイドとダークサイドといった意味ではなく、オンとオフといった意味合いだと私は解釈しています。
日々の努力の積み重ねの延長に、プリマを演じる華やかな舞台がある・・・
これは、バレエの世界でなくとも、現代の働く女性たちにも言い得ているのではないでしょうか?
仕事や趣味など、何か打ち込むものがある女性が真剣に取り組んでいる姿は、ハッとするほど美しいものです。
私の場合はパウダリックに香り、ラストのバニラとサンダルウッドに程よく調和しました。
このドライダウンに癒やされるので、あえて付け直しをせずに楽しむのが好きです。
タフな毎日が続く時、自分をいたわりたい時に思い出す作品です。
アイリス プリマのラインナップ
アイリス プリマは、オードトワレはなく、オードパルファムのみの作りとなっています。
アイリス プリマ オードパルファム
アイリス プリマ シャワークリーム
アイリス プリマには、バスタイムに楽しめるシャワークリームも。
売り切れになることもしばしばある人気のアイテムです。
ペンハリガン アイリス プリマ
肌にまとうのではなく空間を香らせたい時は、パフュームキャンドルに火を灯してみては。
自分の時間を大切にしたい時にピッタリです。