ディプティックは、なにげに柑橘系のラインナップが豊富なフレグランスメゾンということをご存知でしたか?
オイエドやオーデサンスの他に、Les Hespéridées(レ ゼスペリデ、フランス語で柑橘の複数形)シリーズと呼ばれる、柑橘系のオードトワレのシリーズが存在しています。
夏になると合わせたくなる、これら柑橘系の香りは、どれも似ているようで似ておらず、今年の夏はどの柑橘系と一緒に過ごそうか、なんて思いを馳せる楽しみも。
そんなLes Hespéridéesシリーズの中から、今回はロー ド タロッコをご紹介します。
ロードタロッコの名前は?
ロードタロッコのタロッコとは、ブラッドオレンジの品種名です。
ブラッドオレンジにはいくつかの品種があります。
ブラッドオレンジという名称自体は、果肉が血のように赤い、地中海沿岸原産のオレンジの総称で、タロッコもその中の一つというわけです。
日本でも、愛媛県で生産されている品種なんですよ。
ブラッドオレンジの赤色は、アントシアニンが豊富に含まれていることを指しています。抗酸化作用が強いフルーツなんですね。
そのタロッコを使ったフレグランス、ロードタロッコとは、タロッコの香水、というわけです。
ロードタロッコの香りの構成
ロードタロッコは、柑橘系一辺倒の作品ではありません。
シトラス系のフレグランスは、香りの飛びが早いことで知られていますが、それだけでは終わらないのがディプティックです。
柑橘のジューシーな香りが過ぎ去った後も、作品を楽しめるように調香されています。
ミドルノート:ブルガリアンローズ
ラストノート:ムスク、シダー、インセンス(お香)
調香師:オリヴィエ・ペシュー(Olivier Pescheux)
その秘密は、スパイスです。
個性的なトップノート
シトラスとスパイスが競い合うように飛び出す元気なトップノートが、ロードタロッコの特徴です。
苦味の強いシトラスは、スパイスと相まって、まるで創作料理のアペタイザーのよう。
意外にも、この独特の苦味とスパイシーさは肌なじみが良く、ムエットに付けた時よりも、肌の上できれいに香りました。
トップノートのスパイスでは、私はサフランを強く感じました。
このほか、先にご紹介したブラッドオレンジと、グレープフルーツのほか、甘みのあるスイートオレンジもブレンドされています。
真夏にパシャパシャと、浴びるように使いたくなりますね。
苦味のあるシトラスは、大人っぽい雰囲気も演出できそうです。
ミドルノートからラストにかけて
柑橘系とスパイスの香りが1時間ほどで穏やかに落ち着いた後、ミドルノートとラストノートはほぼ同時くらいに現れ、ブルガリアンローズが香ったかと思ったら、ムスクも感じるといった具合でした。
まとう方の肌質や気温によって、現れ方にも個人差があると思います。
サフラン、シナモン、ラストノートに現れるお香のインセンスの3つは、なんともいえないエキゾチックな雰囲気です。
ロードタロッコには、中東の文化とヨーロッパの文化が混ざり合っている・・・そんな印象を受けました。
ロードタロッコは女性でも使える?
ロードタロッコは、男女兼用で使えるユニセックスの作品です。
ところが、よくある柑橘系のオードトワレではなく、ロードタロッコは上級者向けのフレグランスなのです。
ジェンダーよりも、むしろ、スパイシーな作品が好きかどうかが好みを分けると思います。
シナモン、サフランはパンチの効いたスパイスですから、料理の場合と同じように、入っているといないでは風味が大きく異なります。
もし、スパイスの入っていないロードタロッコがあったなら、それはおとなしめのビターオレンジコロンですらなく、炭酸の抜けたぬるいコーラになってしまうと思うのです。
ロードタロッコの香りの強さは?
これだけ個性が強い作品なので、強烈な印象だったらどうしよう・・・
と、心配になってしまったでしょうか?
大丈夫、ディプティックのLes Hespéridéesシリーズはオードトワレです。
それも、オードパルファムのように長く香りをもたせるタイプではなく、パシャパシャと浴びるように使うタイプのオードトワレ。
重厚なニュアンスは全くなく、気軽に楽しめるところも、ディプティックの粋なトコロなのかもしれません。
もし、いつもはフローラル系のフレグランスを愛用していたり、香りで冒険をしないといったあなたでも、ひと夏限定でイメージチェンジを図ってみては?
ロードタロッコは、そういった冒険への背中を押してくれるフレグランスだと思うのです。
ロードタロッコのラインナップ
ロードタロッコ オードトワレ
ロードタロッコは、オードトワレのみの作りとなっています。
インターネットでは、時々、品薄になっていることも。
店頭で勧められることもあまりなく、知る人ぞ知る作品といったところです。
他人とかぶらないシトラス系を探している方や、個性的なサマーフレグランスを求めている時には、ぜひトライしていただきたい作品です。