ゲランのシャリマー。
世界で初めて誕生したオリエンタルフレグランスとして、シャリマーはあまりにも有名です。
インドのラブストーリーを元にしたこの香りは、ゲランの代表作の一つであるばかりか、名香の一つとしてさえ数えられるほど。
今回は、時間を超えて愛され続ける、稀代の名香を紐解いてゆきましょう。
オリエンタルフレグランスの代表作
シャリマーの特徴として、化学的に合成された香料に関する記述をご紹介します。
ゲランの公式サイトにも紹介されている通り、1920年代当時、最新香料だったエチルバニリンという素材がキーとなっているのだそう。
天然素材をたっぷりと贅沢に使うことだけが、斬新なのではないのです。
新たな合成香料の採用も、稀代の名香が生まれるためには必要要素だったのだとわかります。
ちなみに、今日、エチルバニリンは食品添加物としても使われています。
お菓子作りが得意な方は、ピンと来るはず。
そうです、バニラエッセンスの香りですね。
香水だけでなく、食品にもバニラの香りそのものを風味付けできる、合成香料です。
調香の特徴、余韻を楽しむラストノート
シャリマーの調香は、1920年代当時、相当斬新なものだったのでしょう。
私が初めてシャリマーの香りを知った21世紀の今でさえ、新しい香りだと感じてしまいます。
では、つけたてからの香りはどんなものでしょうか?
トップノート
スプレイした瞬間、ベルガモットやオレンジ特有の、甘みと苦味が混在する柑橘系の香りが、フレッシュに香り立ちます。
大理石のテーブルの上にいくつかの柑橘類を並べたような、そんなイメージが浮かんできそうです。
ミドルノート
私がシャリマーの中心に感じるのは、バニラの香りよりもサンダルウッドの香り。
お香が焚かれた、ほの明るい宮殿の外からは、アイリスやバラ、ジャスミンの香りも感じます。
宮殿の庭から、夜なお漂ってくる花園の香り・・・といった風情です。
ラストノート
二人の甘い関係のような、濃厚なバニラ。
それは、インドのラブストーリーをテーマにしている通り。
豪奢なタージマハルで過ごす、ねっとりとした幻想的な夜を思い起こさせます。
シャリマーは、ゲランが得意とする、フロリエンタルと呼称されるフローラル系とオリエンタル系の融合です。
フロリエンタル系のご紹介は、改めてページを設けたいと思います。
官能的なフレグランスをオフィスで楽しんでもいい?
シャリマーは、香りそのものはもちろんのこと、まとった人を魅力的に演出するセクシーな香りです。
オフィスで、というよりは、愛する人と過ごす特別なひとときにピッタリ。
また、あまりにも有名で昔からある香りなので、オフィスでまとった場合、お局さんや上司が、シャリマーをよく知っているなんてことも・・・。
お局さんの昔の愛用品だったり、過去の恋愛のエピソードを思い起こさせる香りだったとしたら、ちょっと面倒なことになりそうです。
シャリマーの香りは、仕事が終わった後にまとうとスマートです。
元々、濃厚な夜向きの調香でもあることから、会議室などの密室で漂わせた場合に、香害と感じる人もいるかもしれません。
どうしても日中、仕事をしながらシャリマーを楽しみたい場合は、くるぶしの外側にワンプッシュずつ、がオススメの使い方です。
この場合、脈がある内くるぶしにはスプレイしないのがポイント。
香りの拡散を抑えるために、あえて大きな脈がない外くるぶしにだけまとうのです。
あるいは、おへその下にワンプッシュだけという使い方も。
自分だけに香らせたい時の、とっておきの使い方です。
仕事が終わった後は、夜の予定に合わせ、普段通りのまとい方で良いでしょう。
スパイシーと甘みの混ざり合うオリエンタルの香りが、ロマンティックな気分を盛り上げてくれるはずです。
私の印象では、オリエンタル系の香りは、気分をアゲたい時だけでなく、落ち着きたい時にもオススメです。
サンダルウッドが入った香水は、リラックスしたい時にも重宝するので、1つ持っていると使い勝手が良いものです。
シャリマーのラインナップ
シャリマー オードパルファム
香水(パルファム、エクストラクト)とオードトワレの中間に位置する、オードパルファム版。
シャリマーは、これら3種が揃っているので、同じ香りの重ね付けを贅沢に楽しむことができます。
とりあえず1本のシャリマーを選ぶなら、オードパルファム版が汎用的。
シャリマー オードトワレ
オードパルファム版が重いと感じる方や、軽やかにまといたい方にオススメ。
オードトワレになってもシャリマーの輝きは美しく、単なる薄まったものには成り下がっていないと思います。
香水(パルファム、エクストラクト)との重ね付けには、オードトワレが便利です。
シャリマー オーデ シャリマー
いわゆる現代版ともいうべき、透明感のあるシャリマーがこちら。
液体の色味も、ゴールドではなく、爽やかな水色となっています。
フレッシュなシャリマー、と評される通り、透明感を強め、現代風なアレンジがなされています。
オードトワレとしての作りです。
ゲラン シャリマー スフル ドゥ パルファン
毎年12月にその年の限定ボトルで発売される、シャリマーのスペシャル版があるのをご存知でしたか?
スフル ドゥ パルファン版は、直近のゲラン調香師ティエリー・ワッサーが手掛けています。
シャリマーの魅力を現代版にアレンジした、モダン版といったところでしょうか。
本格的なクラシック香水が苦手な方でも、気軽にトライできるシャリマーです。