「オリエンタル」と聞いて、あなたは、どのあたりの地域をイメージしますか?
直訳すると、オリエンタルは「東洋的な」という意味になり、特に中東からインド周辺をイメージした香調です。
オリエンタルノートはいったいどんな香りなのでしょうか。
オリエンタルの香調(オリエンタルノート)の香りの特徴は?
オリエンタルノートは、ざっくり表現するとエキゾチックなイメージがする香りです。
具体的には、以下の3つの特徴が挙げられます。
オリエンタルノートの主な特徴3点
- 濃厚な甘さのスイーツやはちみつのようなまったりとした甘い香り
- お香や樹脂など、主にアジアを原産とする樹木を元にした神秘的な香り
- エスニック料理に用いられるコショウやクローブ、ひき肉料理に好相性のナツメグといったスパイシーな香り
一つの特徴だけではなく、これらが複合的に混じり合った作品が多くなります。
古典的な作品ほど混じり合う要素が少なく、徐々に複雑化していると考えるとわかりやすいです。
現代では、オリエンタルノートの香りに他の香調を合わせることで、よりユニークな世界観を表現しているフレグランスも多くなっています。
オリエンタルノートの香水をまとうとどんな雰囲気になる?
オリエンタルノートをまとうと、夏と冬では以下のように感じられる場合が多いと思います。
オリエンタルノートの香水を夏にまとった時
暑い夏にオリエンタルノートの香水をまとうと、深みのある木の香りが暑さを鎮めてくれるように感じられます。
お香や樹脂の香りにスパイスの要素が加わることで心地いい刺激となり、暑い時期にもフィットしやすくなります。
オリエンタルが意味するところの中東から東南アジアは、元々暑さが特徴的な地域です。
本来から暑さとの相性が良く、香りに合わせたエキゾチックなファッションも楽しみやすいです。
オリエンタルノートの香水を冬にまとった時
寒い冬にオリエンタルノートの香水をまとうと、濃厚なスイーツのような甘い香りが温かみを感じさせてくれます。
1つのオリエンタル系香水の中で、甘い香りと共に調香されることが多いウッディーな香りは特に相性が良く、合わせることでより深みのある雰囲気になります。
オリエンタルノートは甘いだけの香調ではありません。甘さを楽しみながらも大人っぽく落ち着いた雰囲気を演出できます。
オリエンタルノートはどんな人に向いている?
この香調は好き嫌いが出る香調とも言われています。
樹脂や樹木から成る香料を多分に使っているため、気持ちが安らぐことから、このジャンルの香水ばかりを好んで使う人もいるくらいです。
ウッディー系の香料が入っていると、甘みを抑えてくれるため男性にも使いやすいですね。
女性がまとっても、エキゾチックな魅力を増してくれる香調です。
オリエンタルノートはお花やフルーツの香りとも相性が良く、メジャーな香水の中でも組み合わされている作品が多数あります。
一例として、シャネルのアリュールはオリエンタルの要素を取り入れたフローラル系の香水です。
普段使っている香水の中にエキゾチックな雰囲気が気になったら、次はオリエンタル系の香水にシフトしてみてもいいかもしれませんね。
補足・オリエンタルノートは中東だけでなく、アジア全般を指す場合も
あくまでも「欧米から見たアジアを彷彿とさせる香り」、がオリエンタルノートの範疇となっています。
このため、日本を含めたアジア全体をイメージする香りを広義のオリエンタルノート、とする場合もあります。
日本独特の和の香りを押し出したフレグランスはまだまだ少ないですが、いつの日か、和の香りが一つのジャンルとして成立するようになったら、素敵だなと思います。
オリエンタル系の代表フレグランス
イヴ・サンローラン オピウム
代表作は、イヴ・サンローランが1977年のコレクションと同時期に発表した「OPIUM(オピウム)」。阿片という名前の通り、官能的で挑発的な女性をイメージしていると言われています。
その香りやコンセプトだけではなく、漆塗りの印籠をモチーフとしたボトルデザインも注目を集めました。
ベースノートには、パチュリー、ベチバー、サンダルウッド、バルサムなど、アジアらしさを感じさせる樹木や、樹脂の香りも頻繁に採用されています。
異国情緒が漂う中にも、どこか神秘的な印象を与えます。
トップノートは、ペッパーやクローブ、ナツメグ等のスパイスの香りで幕を開ける、スパイシーなトップノートも特徴的です。
ゲラン シャリマー
レモンやベルガモットといったシトラス系の香りで幕を開けるオリエンタル香水もあります。
その代表作が、ゲランの「シャリマー」。
これは1925年のパリ万国博覧会で発表された香水の古典です。
今から100年弱も昔の香水ですが、今日でも人気が高く、時代を超えて愛される名作です。
ラルチザンパフューム アンバー エクストリーム
スパイシーで甘く、そして濃厚。情熱的なダンスのようなオードパルファムです。
発売は1978年と歴史が深く、長く愛され続けている名香の一つでもあります。
ラルチザンパフューム タンブクトゥ
ラルチザンパフュームからオリエンタル系の作品をもう一つご紹介します。
タンブクトゥは西アフリカのマリをモチーフにしたオードトワレです。
西アフリカはアジアではありませんが、独特のエキゾチックな雰囲気からオリエンタル系にカテゴライズしました。
何とも言えない個性的な香りはまとう人を選びますが、心を惹きつけて離さない魅力をたたえた作品です。
タンブクトゥ オードトワレ
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ザ ディファレント カンパニー オリエンタル ラウンジ オードパルファン
知る人ぞ知る名メゾン、ザ ディファレント カンパニーの透明感のあるオリエンタル系フレグランスがオリエンタルラウンジです。
一部セレクトショップなどで取り扱いがあるフレグランスメゾンの中でも、さらにマニアックな作品。他人と被らないレアな香水を求めている方にもおすすめです。
肌なじみが良く、オンよりもオフをサポートしてくれる、大人向けの内省的な香りだと思います。
ザ ディファレント カンパニー オリエンタル ラウンジ オードパルファン
セルジュルタンス ヴェティヴェールオリエンタル オードパルファム
セルジュルタンスによる、ベチバーを主役にした官能的なフレグランス。
イネ科の多年草であるベチバーはインドが原産であり、まさにオリエンタルな素材の一つです。
土のような香りと評される「アーシー」な香りは、まとっているとぬくもりを感じる、どっしりと根を張るような安定感を感じさせてくれます。
サンダルウッドやムスク、安息香といった香料素材との絶妙な調香により、どこか落ち着ける香りです。
セルジュルタンス ヴェティヴェールオリエンタル オードパルファム
セルジュルタンス アンブルスュルタン オードパルファム
セルジュルタンスからオリエンタル系フレグランスをもう一つご紹介します。
こちらはアンバーを主役にしたアンブルスュルタンという作品で、「アンバーの王」という意味のオードパルファムです。
アジアではなくモロッコのマラケシェがテーマになっており、異国情緒たっぷりです。
スパイスをたっぷり使用したオリエンタル系香水とは異なり、アンバーと安息香、パチュリなどで仕上げています。
スパイスが苦手な人向けのオリエンタル系香水です。
ディプティック オーデュエル オードパルファム
ディプティックのオーデュエルは、オードトワレ版とオードパルファム版があるオリエンタル系フレグランスです。
特にオードトワレ版はスパイス感を楽しめ、甘さのないオリエンタル系香水を探している方にはぜひおすすめしたい作品の一つです。
オーデュエル オードトワレ
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シャネル アリュール(レディース)
個性的な香りが多いオリエンタル系香水ですが、オリエンタルの要素を持ちながらも使いやすくアレンジされた作品も存在しています。
女性にまずおすすめしたいのは、シャネルのアリュールです。
基本的にはフローラル系に位置しながらも、ラストノートに掛けてはオリエンタル系の素材が魅力を発揮する、ハイブリット型の作品に当たります。
まとう人によって香り方を異ならせることで、その人の魅力を引き出す香りとして注目を集めました。現在でも高い人気を誇っている作品の一つです。
オリエンタル系から生まれた新ジャンル「グルマンノート」
これらオリエンタルノートの特徴を活かし、お菓子のような甘い香りの香水も登場しました。
それらが、「グルマンノート」と呼ばれる新ジャンルです。
キャラメルや砂糖を焦がした時の香り、蜂蜜やスパイスをたっぷり使ったケーキなど、お菓子やデザートの香り。
まさに、食べてみたくなるような香りです。
※グルマンノートについては、当サイトの以下の記事で詳しくご紹介しています。
グルマンノートの先駆けとなった香水は?
これら「グルマンノート」をブレイクさせる先駆けとなった香水は、ティエリー・ミュグレーの「Angel(エンジェル)」です。
1992年にAngelが発売されて以来、後を追うようにして、その他の美味しそうな香水が多数発売されるようになりました。
このように、香水の世界では、ブレイクした商品の特徴が、そのまま新たな1ジャンルを築くきっかけになることもあります。
グルマンノートについては、当サイトのこちらの記事で詳しくご紹介していますので、併せて参考にしてみてくださいね。。