早々に秋を迎えてしまったのか?と寂しくなった東京の夏。
今週に入り、暑さが戻ってきましたね。
このまま秋の香り探しかな・・・と心が傾きかけていたところ、まだ紹介していなかった夏の香りがありました。
今回は、武蔵野ワークス2017年の夏限定の香り「Summer」をご紹介します。
武蔵野ワークスって?
武蔵野ワークスとは、日本の香水メーカーで、その名の通り、東京の西部、武蔵野にあることが社名になったそうです。
実店舗がなくインターネット販売のみを行っており、一部はAmazonでも購入することができます。
(※上記のAmazonリンクはSummerとは別の商品です)
(私がご紹介するのもおこがましいのですが)大変謙虚なメーカーさんだと思います。
日本らしいというか、奥ゆかしい、そんな大和ことばが似合いそうなのです。
Summerとは?
Summerは、武蔵野ワークスが今夏お披露目した最新の作品(オードパルファム)です。
最新であるとともに、限定の香りであり、数百点しか生産されていないのだとか。
誕生した経緯は、武蔵野ワークスのブログによると、夏を香りで楽しむこと、暑い時期をスッキリと過ごすことを目的に開発されたようです。
4mlサイズのみの展開となっており、これより小さいお試しサイズがないだけでなく、これより大きいサイズもありません。
フルボトル(と言っても武蔵野ワークスのフルボトルは25ml)が欲しくても、作っていないのですよ・・・そして、売り切れ次第終了です。
Summerの香りは?
シトラスではない柑橘系とラベンダー、それから松の香りがキレイに混ざり合った香りが印象的です。
夏=海、のイメージではなく、高原に出掛けて思い切り深呼吸をしたような、そんなスッキリした香りです。
暑ければ暑いほど、どんどん吸い込みたくなるスッキリ感がクセになりそうです。
トップノート:柚子、ベルガモット、ミント、グレープフルーツ、他
ミドルノート:柚子、ローズマリー、ラバンジングロッソ、クローブ、他
ベースノート:白檀、パインニードル、ホワイトムスク、他
出典:武蔵野ワークスのブログから
シトラスではない柑橘系の正体は、柚子とベルガモットでした。
欧米文化が作った香りのベルガモットは、主張が強すぎるベルガモットになりがちですが、武蔵野ワークスの場合は違います。
あくまでも、シトラスの香りの主役は柚子。
しかし、柚子だけでは和風になりすぎてしまうことや、日本では柚子は夏っぽさよりも冬のイメージに寄ってしまうのを避けたのではないか、と想像します。
そこで、柚子をベルガモットとグレープフルーツに混ぜ合わせることで、夏を感じさせる、オリジナルの柑橘を目指したのではないでしょうか。
このオリジナルのシトラスは、トップからミドルに掛けてのフレッシュな主役を務めた後、後半には舞台袖からいなくなってゆきます。
作品の後半は、グッと和風の雰囲気になり、しっとりと落ち着いた香りに変化してゆきます。
ミドルノートに現れるラバンジングロッソとは、自然交配種によるラベンダーの一種です。
ラベンダーの花ではなく、葉の香りを使ったか、あるいは花と葉を混ぜたのではないでしょうか。
ラベンダーだけでなく、ハーブ系植物のお花が持つ、独特のクセのある草っぽさよりも、シャープなラベンダーです。
ローズマリーも入っていますが、草っぽさはあまり感じません。ハーブが苦手な方でも大丈夫かと。
クローブのスパイシーな刺激も心地よく、ミドルでの名脇役を果たします。
ラストは、松のような香り・・・これはパインニードル。
キツすぎない松の葉の香りが清々しく香り、しつこく残りません。徐々に白檀やムスクと混ざり合って、肌に馴染んでゆきます。
男性でも女性でも使える、肌に馴染みやすい柔らかい香りとなってゆっくりと消えていきます。
白檀(サンダルウッド)とホワイトムスクが絶妙な肌なじみを魅せてくれます。
Summerをまといたくなるシチュエーションは?
私がSummerをまといたくなるシチュエーションは、ズバリ、寝香水としてです。
高原をイメージするスッキリとした香りでありながらも、ラストノートではまるみのあるやわらかな香りとなり、肌に馴染みます。
蒸し暑いために寝苦しく、呼吸が浅くなりがちな夏の夜でも、深い呼吸に導いてくれるような気がします。
深い呼吸ができれば、身体の緊張がほどけてリラックスできますし、これによって、質の良い睡眠を得られると思うのです。
ドライダウンの白檀が美しく、体温で馴染んだ香りからは日本らしさも感じます。
不思議と落ち着ける香りです。
私にとっては、リフレッシュというよりも、深いリラックスをもたらしてくれる作品になりました。
Summerはまだ買える?
本日、2017年8月24日時点では、武蔵野ワークスの公式ECサイト上では購入可能であるようです。
しかし、元々の生産数が大変少ないことから、気になる方はお早めにお求めになることをオススメします。
管理人のひとりごと
武蔵野ワークスの作品は、良心的な価格でありながらも高いクオリティを実現しています。
お香とはまた違ったアプローチで、香りの中に日本らしさを表現しているところも素敵です。
メゾンフレグランスやファッションブランドの香水は、抗いがたい魅力を持った作品が多いものの、所有することそのもののステータスを刺激するメゾンもまた少なくありません。
武蔵野ワークスの場合、そもそもそういったギラギラした刺激は受け流しており、純粋な香り好きの方のために、ひっそりとお店を開けているような雰囲気を感じます。(勝手な想像ですが・・・)
もしかしたら、これからすごく有名になっても、それが一時的なバズや一過性のブームではなく、ずっと続いていってほしい日本の“メゾン”だと思っています。