連日の暑さで、熱中症を起こしていませんか?
晴れて蒸し暑い日、特に昼間は、無意識のうちに柑橘系の香りを求めてしまいます。
今回は、アニック グタールのロングセラー作品 オーダドリアンをご紹介します。
オーダドリアンの由来
オーダドリアンは、「ハドリアヌス帝の回想」という小説のキャラクターに由来した作品です。
ハドリアヌス帝は第14代のローマ皇帝であり、現代の調香師、アニックグタールの知人ではありませんよ。
アニック グタールが感動し、香水まで作ってしまった小説、なんだか興味が湧いてきます。
探してみたところ、邦訳もされており、現在でも入手が可能な小説でした。
映画化もされた人気コミック「テルマエ・ロマエ」や、塩野七生さんの「ローマ人の物語」が好きな方は、通ずるものがあるかもしれませんね。
オーダドリアンの香りは?
オーダドリアンは、ローマ皇帝をモチーフにしたとは思えないくらい、爽やかで穏やかな香りです。
トップノートは、柑橘類をいくつもミックスした、フレッシュジュースのよう。
中でも印象的なのは、レモンです。
果汁を絞ったばかりのフレッシュなレモンが弾け、シトロンやマンダリンオレンジ、わずかに苦味のあるグレープフルーツを連れてきます。
このつけたての瞬間に、まさに夏を感じてしまいます。
レモン、サイプレス、シトロン、グレープフルーツ、マンダリンオレンジ、アルデハイド、イランイラン
調香師:アニック・グタール(Annick Goutal)、フランシス・カマイユ(Francis Camail)
つけたての瞬間は、肌の上よりも、ムエットの上の方が持続するかもしれません。
体温のぬくもりで、徐々に柑橘系のトップノートは過ぎ去ります。
ほんのりとグレープフルーツの苦味を残して、ミドル以降はスキンフレグランスのよう。
サイプレスという、針葉樹を思わせる森林の香りと、アルデハイドが透明感と奥行きを増しています。
アロマテラピーでも用いられるサイプレスは、精油では存在感のある香りですが、オーダドリアンの中ではきつすぎず、角が取れたような柔らかい感じがします。
そしてフェミニンなお花、イランイランが華を添えていきます。イランイランは、あくまでも華を添えるための端役です。
ラストノートまで進んでも、シダーのようなウッディーノートが主張しすぎてしまったり、メンズフレグランスに振り切ってしまうことなく、中性的なイメージのままに消えてゆきます。
アロマティックなシトラスを残しながら、気がついたら肌の匂いに馴染んでいる・・・そんな優しい作品。
ミドルノート以降は、肌のごく近くで香るおとなしい雰囲気になるため、香水をまとっていることを周囲に主張しすぎるタイプの作品ではありません。
自分のための香り、落ち着いた香りを探している方にそっと勧めたくなる、今の時季にピッタリの静かなサマーフレグランスだと思います。
オーダドリアンは世界で認められた名作
オーダドリアンは、世界的にも栄誉のあるFiFi Award(2008年)に輝いた作品です。
この賞は、フレグランス界のオスカー賞と言われている大変名誉ある賞なのだとか。
※FiFi賞は、2013年以降はThe Fragrance Foundation Awardsと名称が変わりました。
アニックグタールは、現在ではアニックの娘、カミーユの作品のほうが多くなっていますが、オーダドリアンはアニック・グタールによる作品です。
時代を越え、これからも永く残ってほしいなと思います。
オーダドリアンはハリウッドセレブも使っている?
海外の香水サイトをネットサーフしていると、どうやらオーダドリアンはあるハリウッドセレブが愛用しているという噂があった作品。
意外なことに、これが男性です。
レオナルド・ディカプリオが使っているという書き込みを数件見つけてしまいました。
ディカプリオは日本でも人気が高いですし、中性的な外見も、どこかオーダドリアンのイメージにピッタリ。
ふだんは、有名人の使用がまったく気にならない私も、こればかりはついつい注目してしまいます。
アニックグタールを選ぶなんて、ディカプリオの好感度が上がってしまいました。
オーダドリアンは男性向けじゃない?
レオナルド・ディカプリオが使っていることで、女性には向いていない香り、と感じた方がいるかもしれませんね。
ホワイトフローラルのような、明らかにフェミニンな印象とはたしかに違います。
オンナっぽい香りや、甘い香りが苦手な方には、強くオススメです。
一方、メンズフレグランスらしいかというと、そうではないのです。
むしろ、スキンフレグランスが好きかどうかが、選ぶ基準になるのではないでしょうか。
オーダドリアンのラインナップ
オーダドリアンは、オードトワレとオードパルファムの2種類が作られています。
アニックグタール オーダドリアン オードトワレ
パシャパシャと気軽に使うなら、オードトワレです。
軽めのシトラス系ということもあり、夏向けの重ね付けに使うことで、レモンとサイプレスのすっきり感を重ねて楽しんでみてください。
アニックグタール オーダドリアン オードパルファム
重ね付けをせず1本で楽しみたいなら、オードパルファム版をおすすめします。
香りの印象はそれほど大きな違いはないものの、やはりオードパルファム版は香りに奥行きを感じます。
オードパルファムだからといって重さはなく、アルデハイドが程よく効いており、透明感はキープしてくれます。ちょっとムスクっぽいドライダウンも心地良いです。
サマーフレグランスとして選ぶならぜひオードパルファム版を。