まだ、猛暑が来る前の初夏のある日。
午後のまだ日が高いうちに自分の部屋に入り、陽が当たるベッドの上に寝転がった時に広がる、ふんわりとした香り・・・
そんな、日常のなにげない幸せを感じさせ、デイリーにまといたくなる作品が、今回ご紹介するザ ディファレントカンパニー ピュア イヴだと思います。
ピュア イヴの香りの魅力
なぜか落ち着くこの香りの正体は、アルデヒド、リネンフラワーやローズといった香料が、石鹸やリネンフレグランスを思わせるからなのかもしれません。
肌そのものから立ち上るようなほんのりとした柔らかい香り。
柔軟剤の優しい香りが好きな方には、たまらない作品に違いありません。
そもそも柔軟剤は、ファブリック(布地、洋服や寝具など)に良い香りを付けますが、肌にまとうものではないですよね。
この柔軟剤の香り、香水だったらいいのに!
ピュア イヴをまとえば、密かにそんな願望を叶えることができちゃいますよ。
ピュア イヴの香りの構成
ミドルノート:リネンフラワー(亜麻の花、英語ではフラックスとも)、ミモザ、ホワイトローズ
ベースノート:カリソン(アーモンドのお菓子)、ムスク、シダーウッド
調香師:セリーヌ・エレナ(Celine Ellena)
まとってから時間が経つに連れて、ムスクやシダーウッドと共に現れるのはカリソン。
フランス、プロヴァンスに15世紀から伝わるお菓子で、生地にはアーモンドが使われる焼き菓子の一種です。
カリソンの由来は15世紀、善良王ルネと結婚することになった笑わないお姫さまに、結婚式では笑顔になってもらおうと、宮廷の菓子職人がある菓子を花嫁に献呈したことに始まります。
出典:フランス観光開発機構 カリソン Calisson
グルマンというほどのインパクトのある甘さではありませんが、このカリソンの香りが加わることで、なんともいえないほんのりとした甘みとぬくもりが生まれています。
お菓子の香りは好きだけれど、甘ったるいのはニガテ、という方や、バニラでは甘すぎると感じる方こそ、ぜひ試してみて。
大人の女性でも自然にまとえて、幼くなりすぎない絶妙なバランスに仕上がっていると思います。
ピュア イヴの香りの保ちは?
周囲の人にもわかる程度の香り方がするのは、従来のオードパルファム通り4~5時間といったところ。
私が考えるピュア イヴの香りが最も美しい頃合いは、ズバリ、香りが消える直前だと思います。
この、消える直前の香りを求めてまといたくなる、と言っても過言ではないくらいです。
ボディウォッシュで体を洗い、シャワーで洗い流した後でも香りが残っていた経験がある方にはわかると思いますが、そう、残り香のようなあの香りです。
ピュア イヴの場合は、この残り香が他の作品と比べて強めに感じます。
日本ではピュア イヴはムスキーフローラルとして紹介されることが多いものの、実際にはスキンフレグランスの一種に位置付けられるんじゃないかなぁ。
香りが消える直前はいつ?
同じ香りでも、その日の気温や湿度、天候によって持続時間が変化するものです。
ミドルノートのお花の香りが薄らいできたら、その時はまもなくです。
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帰宅した頃、またはシャワーを浴びる頃に、もっともまろやかで甘い香りに変化しているというわけです。
おうちに帰ってほっとする気持ちに、ふんわりと香りが寄り添ってくれてオススメです。
もし、普通の使い方でホワイトフローラルの香りを楽しみたいのなら、重ね付けをしてもキレイに香りますよ。
ピュア イヴのイメージ
ピュア イヴは、シンプルで飾らない香りとして提案された作品。
シンプルだけど上質なものを身にまとう時間こそ、本当のラグジュアリーなのかもしれません。
それこそが、ラグジュアリーフレグランスメゾンとしての、ザ ディファレント カンパニーの真髄とも言えるのでしょう。
ピュア イヴのラインナップ
ピュア イヴは、オードパルファムのみの作りとなっています。
ミドル~ラストノートにかけてが、この作品の本領発揮だと思います。
やはり、ラストノートを際立たせるのは、オードトワレよりもオードパルファム。
肌をほんのりと香り立たせるのは、やはりオードパルファムならではです。
パルファムには叶いませんが、メゾンフレグランスの場合は、敢えてオードパルファムまでの作りとなっている場合も少なくないですしね。
ピュア イヴ オードパルファム