フレグランスが好きになると、少しの香りだけでは物足りなくなることはありませんか?
好きな香りをたっぷりと、全身にまといたくなってしまうのです。
ところが今回ご紹介する作品は、その真逆。
まるで香水をまとっていることを忘れてしまうかのような透明感を持つ、日常のラグジュアリーフレグランス。
メゾン フランシス クルジャンで高い人気を誇る、アクア ユニヴェルサリスをご紹介します。
アクア ユニヴェルサリス(オードトワレ)の香り
アクア ユニヴェルサリスは、水をテーマにした作品です。
しかし、良い意味での90年代を彷彿とさせるアクア系とは異なり、調香師のフランシス・クルジャンは、水を表現するために、シトラス系の香料とホワイトフローラルを用いました。
香りをまとっていることを忘れさせてしまうような透明感とは、この香りをまとっていることが当たり前になるような、香りと一体になるような感覚だと思うのです。
アクア ユニヴェルサリスは、そんな魅力にあふれた作品です。
ベルガモット(ベルガモットカラブリアン)
ホワイトブーケ(リリー・オブ・ザ・バレー、モックオレンジ)
ムスク、ウッディーノート
※トップ、ミドル、ラストといった香りのピラミッドは明かされていません
調香師:フランシス・クルジャン(Francis Kurkdjian)
つけたての瞬間は、柑橘系の澄んだ香りがフレッシュに弾けます。
清潔感、リフレッシュ、ゼスティ・・・
そんなキーワードが次々に浮かんできます。
これは、シトラス系のフレグランスなのかな?
そう思っていると、肌の上で温まるに連れて、ホワイトフローラルの花々が開き始めます。
ほんのりと柑橘系の香りを併せ持っている白いお花は、モックオレンジです。
日本では梅花空木(バイカウツギ)と呼ばれる、アジサイ科のお花で、ミカンの仲間ではないのがポイントです。
フローラルを謳った作品よりもお花の要素は柔らかく、主張は控えめ。フェミニンな方向を向いているのではないとわかります。
清潔感や朝の光を感じさせます。
ラストは、柔軟剤のようにやわらかなムスクが包み込みます。
香りを何もまとっていないようでいて、薄化粧をするようにまとっている・・・そんなさりげない香り方です。
アクア ユニヴェルサリスがヒットしている理由の考察
2009年に発表されたアクア ユニヴェルサリスは、クルジャンの中ではアラローズと競い合うほどに人気のある作品です。
特に、アクア ユニヴェルサリスは日本国内での人気が高い作品。
私が百貨店に出掛けた際は、よく香水ショップに立ち寄ります。
クルジャンを取り扱っているどこのショップのスタッフさんも、ほぼ必ずアクア ユニヴェルサリスをオススメします。
それだけ、国内で広く受け入れられている作品ということなのでしょう。
清潔感のある香りを嫌う人はそうそういませんし、周囲への香害という影響を考えると、現代日本人にマッチした作品と言えそうです。
その分、強く個性的な香りが好きな方、女性らしさを演出するための香りを探している方には、物足りないかもしれません。
何かをプラスするための香りではないからです。
アクア ユニヴェルサリスは、香水を使い慣れていない方や、メンズ香水が好きな女性、もちろん男性にもオススメの香りです。
私の個人的な意見ですが、普段は香水の魅力を知り尽くしている女性がまとっていると、ギャップでグッとくる作品でもあると思うんですよね。
メイクやファッションでも、引き算メイク、ミニマルコーデといった“余分なものを削ぎ落とした”スタイルが提案されています。
おしゃれの追求のために足したり重ねたりすることに疲れたら、必要なものだけを残してみてはいかがでしょうか。
最後に残ったものが、あなたにとって本当に必要なものなのかも?
アクア ユニヴェルサリスは、そういったシンプルなフレグランスなのです。
アクア ユニヴェルサリスが似合うのは、どんな時?
シンプルで、主張しないフレグランス、アクア ユニヴェルサリス。
それは、自分の生活の中で、もっとも長く着ている衣服に喩えてみると、わかりやすいのではないでしょうか。
(同じ服ではないにせよ)仕事用のファッションだったり、ジーンズにTシャツなどカジュアルウェアかもしれません。
アクア ユニヴェルサリスは、オフィスにも似合う香りです。
特に、日本の猛暑の中でも清潔感が続く香りは、よくありそうで、なかなかありません。
まとっていて邪魔にならないのに、水のように、なくてはならないもの。
春から夏にかけて、仕事用のフレグランスの定番にしても良いと思います。
アクア ユニヴェルサリスのラインナップ
アクア ユニヴェルサリス オードトワレ
アクア ユニヴェルサリス フォルテ オードパルファム
“フォルテ”と名付けられている通り、濃度が濃いこちらのバージョンは、オードパルファムとなっています。
香水(パルファン、エクストラクト)を思わせる、リッチな香り立ちです。
オードトワレ版には入っていなかった、ローズやジャスミンの香りを感じ取ることができます。
香りをまとっていることを忘れてしまうようなオードトワレ版とは異なり、香りを楽しむ要素に重きが置かれているようです。
オードトワレ版の香りが気に入っているのなら、フォルテ(オードパルファム版)にステップアップしてみても。
たっぷり半日は香りを楽しめるので、ラグジュアリーな気分に浸れそうです。