男女別の香りの好みって? 〜香りの嗜好性

香水を楽しむ基本テクニック

■香りの好みに、男女差ってあるの?

女性が男性用の香水を纏っていたらヘン?

今回は、そんなお話しです。

 

 

■香水売り場を観察してみると?

香水売り場に行くと、「男性用」と「女性用」と、性別で区切った販売方法をとっているお店が多くあります。

なんとなく、女性向けのものはボトルの形が丸みを帯びていて、ボトルの色もピンクや暖色系の色味だったり。

 

ディオールやグッチといった、ヨーロッパの伝統的なラグジュアリーブランドの香水では、その傾向が強いようです。

 

これを意識して、日本国内のカジュアルな香水ブランドも、使い人の性別を意識したボトル・パッケージデザインを狙っていることもありますね。

 

一方で、ブランドの個性から、全体的にボトルの形やデザインが統一されているものもあります。

そういったフレグランスメゾンの場合、ボトルの見た目からは、まったく性差が感じられないものも。

 

このような、フレグランスメゾンと呼ばれる香水専門ブランドでは、香りを嗅いでみなければ、どちらの性別向けの香水か、わからないことが多々あります。

 

 

■香りに、性別ごとの好み(嗜好性)はあるの?

これを調べた研究者がいます。

マンクリーフ(R.W.moncrieff)という研究者が

イギリス人男女、それも幅広い年代を対象に

調べたことがあるといいます。

 

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意外にも、大人(成人)の男女間では、匂いの好みに違いはないそうです。

 

ただ、両性ともに好ましいという香りの中に、特に男性が好む香りがあるらしいのです。

 

モック・オレンジ、ハニーサックル、野バラ、ムスク・アンブレットの四種で、いずれも男性の選択度は女性の二—四倍であった。

出典:「匂いの世界」菊池俊英著 みすず書房

 

モック・オレンジというのは、和名でバイカウツギと呼ばれるアジサイ科の植物で、香りがオレンジの花によく似ているそうです。甘みの中に、ちょっと苦味のある白い花の香りです。

ハニーサックルは、スイカズラとも呼ばれるツル性植物で、蜂蜜のような甘さの中に、青みも感じられます(青みはグリーン系とも呼ばれます)

野バラは、おなじみのバラの香りですね。

英語名で、ワイルドローズと称されることもあります。

ムスク・アンブレットは、いわゆる動物性のムスクの香り。香水にとって、非常にポピュラーな香料です。

 

■女性の嗅覚のほうが優れている?

男性と比べ、女性の嗅覚のほうが優れていると言われています。

(これには、女性特有のバイオリズムのサイクルも関係しているそうですよ)

 

ちょっとした香りの変化にも気が付きやすい女性に対し、男性は、女性の何倍もの濃度の香り初めて、香りを感知するのだそうです。

 

男性は、香りに関しては女性よりも鈍感と言わざるを得ないようです。

 

 

■男女間で好きな香りに違いがあるのは、なぜ?

残念ですが、この問題に、まだ答えは出ていません。

香り・嗅覚に関しては、まだまだ現代の科学技術で、いまだにわかっていないことが多いのも事実です。

 

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■香水の歴史から

実際に、性別ごとの香りの嗜好性については、科学的に不明な点が多く残されています。

 

一方で、それぞれの性別に向けて、香りのアコードやパターンが分類されているのも事実です。

 

香水の起源を遡ると、紀元前1850年頃に、すでに工場で香水を作っていたらしい形跡が見つかっています。

 

古来から長年に渡り、宗教的な目的のために使われてきた香水。

ファッションのために使われるようになったのは、近現代に入ってからです。

 

長らく、ファッションは性差を強く意識してきました。

香水もこの流れを汲んでおり、背景には男女間の違いを土台に持った文化といえるでしょう。

 

仕事上の男女平等が一般的になり始めたのは、さらにこれより後の時代。

まさに今、現在と言っても良いのではないでしょうか。

 

 

■最近の日本における香水文化

人類の長い歴史から見ると、香水も男女別の文化的背景をなぞらずにはいられません。

 

一方で、マンクリーフの調査結果にあるように、匂いの好みに、性別ごとの違いはほぼありません。

 

女性が男性用の香水を使ったからといって、男性に嫌われてしまうことはありませんので、

ご安心ください。

 

香水好きの間では、女性向けの香水を積極的に使う男性も、たくさんいらっしゃいます。

もちろん、その逆で、女性で男性向け香水を好む方も大勢いるのです。

 

香水は、使う人の個性(体臭や肌質)をベースに、肌に乗せて楽しむもの。

 

自分の肌の上で、香りがどう馴染むのかを楽しんだり、根源的に持っている身体の匂いと香りを併せて「自分の香り」を楽しんでみるのも、まさに「香り美人」といえそうですね。

 

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